シリア、イラクのイスラム過激派グループ「イスラム国」が1月20日、身代金2億ドル(約240億円)を72時間以内に支払わなければ「日本人2人を殺害する」と警告する動画を公開した。
誘拐した人質の首を切断して動画に公開する、異教徒の女性を売り飛ばして性奴隷にするなど、さまざまな残虐行為で知られるイスラム国だが、その実態は依然として謎に包まれている。ハフポストがこれまで掲載した記事から、改めてイスラム国の実態に迫ってみよう。
イスラム国は2014年6月10日にイラク北部のモスル、11日にティクリートを制圧して首都バグダットに迫る勢いを見せたことからその存在がクローズアップされるようになった。当時は「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」あるいは「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」などと報じるメディアによって呼び名が異なっていた。イスラム国は2004年にイラク旅行中の香田証生さんを拉致殺害した「イラクの聖戦アルカイダ組織」出身者らで構成される。
6月29日には「カリフ(預言者ムハンマドの後継者)」を指導者とするイスラム国家を樹立すると一方的に宣言し、世界中のイスラム教徒に忠誠を呼びかけた。イスラム国の指導者としてアブバクル・バグダディ容疑者を「カリフ」とするイスラム国家樹立の宣言とともに、組織の名称も単なる「イスラム国」に改めた。
2014年7月4日にバグダディ容疑者が初めて動画に登場した時、高級腕時計を身につけていることが注目された。オメガシーマスター、ロレックス、セコンダなどの有名ブランドではないかとさまざまな説が飛び交った。
2014年には、アメリカ人ジャーナリストのジェームズ・フォーリー氏の首を切断する動画を公開した。フォーリー氏は中東取材経験の豊富なジャーナリストで、2012年11月22日に身元不明の武装集団に誘拐された。この動画は全世界に衝撃を与え、アメリカのオバマ大統領はその後、イスラム国への空爆に踏み切ることとなった。
ジェームズ・フォーリー氏を殺害した覆面の男はイギリス英語を話しており、仲間内から「ジョン」と呼ばれている。正体は、ロンドン西部出身の元ラッパー、アブデル=マジェド・アブデル・バリー氏と見られており、「アブ・カラシニコフ」という名前や「アッラーの兵士」を自称して戦闘に加わっていたと見られる。
イスラム国は、イラクの少数派の異教徒「ヤジディ教徒」を徹底的に弾圧している。2014年8月には約4万人のヤジディ教徒がイラク北部のシンジャール山に避難し、身動きがとれない状態となった。イラク軍のヘリコプターが、ヤジディ教徒を救出する時の緊迫した様子が動画で残されている。
イラクのヤジディ教徒の女性約300人は「戦利品」として誘拐され、シリアへ移送。うち27人については、一人あたり1000ドル(約10万円)で売られ、イスラム教へ改宗させられたうえに結婚を強いられたという。また、ヤジディ教徒やキリスト教徒、トルクメン人、シャバク人の女性や十代の少年少女たちは性奴隷として扱われ、「残酷なレイプ」が行われているという。
イスラム国の評議会の兵士は、性奴隷の取り扱いに関するガイドラインを発表し、兵士らは処女の女性と、また、思春期前の少女でも「性交に適している」場合はすぐに性交をしてもよいという。兵士と性交する女性の「子宮は汚れなきものでなくてはならない」が、処女でない女性とも性交できるとしている。
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