過激派組織「イスラム国」(IS)がイラクでのクルド人部隊との戦闘において、化学兵器のひとつである「マスタードガス」を使用していたことが、オランダ・ハーグにある化学兵器禁止機関(OPCW)の調査でわかった。イラクでの化学兵器使用は、フセイン政権崩壊後初めて。2月16日、BBCなどが報じた。
マスタードガスは、硫化ジクロルジエチルを使った毒ガスで、付着すると皮膚がただれ、呼吸困難で死亡することもある。純粋なものは無色無臭だが、工業製品はからしのような臭いがあることからマスタードガスの名前がついた。第1次世界大戦でドイツ軍が初めて実戦に投入した地名「イーペル」にちなんで、「イペリット」とも呼ばれる。
ロイターがOPCW関係者の話として伝えたところによると、2015年8月にクルド人自治区の中心都市アルビルでの戦闘でマスタードガスが使われたとみられる。体調が悪くなった約35人の兵士からサンプルを採取しOPCWが調べたところ、マスタードガスに対する陽性反応が見られた。
化学兵器の入手先は明らかにされていないが、シリアで入手した可能性がある。一方でイラクで調達した可能性もあることから、アメリカ情報機関が分析中だ。
アメリカ中央情報局(CIA)長官のジョン・ブレナン氏は2月14日、CBS の「60ミニッツ」に出演し、「ISは、塩素ガスやマスタードガスを、少量ながら製造する能力を有しているとCIAは考えている」とコメントしている。
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