国連の「子どもの権利委員会」は4日、過激派組織「イスラム国」が、イラクで誘拐した子供を性奴隷として人身売買しているほか、生き埋めにするなどして殺害していると報告した。
またイラクでは、18歳未満の少年がイスラム国の自爆攻撃要員とさせられたり、米国主導の空爆から施設を守るための人間の盾として使われたりすることが増えているという。
同委員会のレナーテ・ウィンター氏は記者会見で「子供の拷問や殺害を深く憂慮している」とし、クルド系ヤジディ教徒やキリスト教徒のような少数派だけでなく、シーア派やスンニ派の子供も犠牲者になっていると語った。
同氏はロイターに対し「精神障害を抱えている子供たちが、恐らく理解できないままに自爆攻撃要員として使われているとの報告を受けている」と説明。「8歳前後のかなり幼い子を少年兵として訓練させているビデオもあった」と述べた。
イスラム国は3日、拘束していたヨルダン軍パイロットのモアズ・カサスベ氏とみられる人物を火を付けて殺害する映像も公開した。
同委員会は、1998年以降で初めてイラクの状況を調査。イスラム国が宗教的・民族的少数派に属する子供を組織的に殺害していると非難し、「少年の集団処刑のほか、子供の斬首やはりつけ、生き埋め」も報告されているとした。
また、なかには誘拐され、性奴隷とされる子供たちもおり、イスラム国が「組織的な性暴力」に関与していると、同委員会は指摘。ウィンター氏によると「少数派の子供は多くの場所で誘拐され、値札を付けられて奴隷として市場で売られている」という。
報告書作成に参加した専門家18人はイラク当局に対し、イスラム国の支配下にある子供の救出にあらゆる措置を講じるよう求めた。
[ジュネーブ 4日 ロイター]