シリア中部のパルミラ郊外で7月8日、ロシア軍のヘリがIS(イスラム国)に撃墜され、搭乗していたロシア軍兵士2人が死亡した。ロシア国防省が9日、発表した。アラブ首長国連邦ドバイの衛星テレビ局「アル・アラビーヤ」などが報じた。
ロシア軍の「ミル24」ヘリは、IS戦闘員を空爆するようシリア軍からの申し出を受け現地に向かい、弾薬が尽きて現場からヘリが離れた時に撃墜されたという。
ロシアの「ミル24」ヘリ
パルミラ遺跡はシリアの首都ダマスカスの北東約230キロ、シリア砂漠の中央にあるローマ帝国時代の都市遺跡。凱旋門、列柱付きの大通り、コリント式の円柱に囲まれたベル神殿、半円形のローマ劇場、公共浴場、墓地の谷などがある。2011年の民主化運動「アラブの春」以降シリアの治安が悪化し、墓の盗掘などが確認され、2013年に危機遺産リストに記載された。
2015年5月にはISが侵攻して制圧し、遺跡の石像を破壊し、女性や子供を含む400人を殺害した。8月18日には遺跡の管理責任者だった考古学者のハリド・アサド氏を斬首して処刑していた。
シリア軍は2016年3月27日、ISの支配下に置かれていたパルミアを奪還した。