ハフィントンポストUK版によると、イラク新首相に指名されたアバディ氏は、イラク北部のイスラム過激派「イスラム国」打倒の最初のステップとして、イラク軍の「 再建、再訓練」を計画している。
ハイダル・アバディ新首相に近い消息筋がバグダッドでハフィントンポストUK版に語ったところによると、新首相は「イスラム国やその他のテロ組織を倒しイラクの都市部から追い出す」ために「包括的にイラク軍を再建し、再訓練する」意向を示している。
バグダッドの新政府をめぐる交渉に関与する同消息筋は、アバディ氏は自ら「強く包括的な政府」を主導して「地方行政を活性化し、法の支配を強化して腐敗と闘う」ことを国内の賛成派と反対派の両方に誓ったと語っている。
これはアメリカ当局者が、分裂と混乱を続けるイラクの政治指導部に求めていたことだ。6月の時点でイラク領土の4分の1がイスラム国(当時は旧イラク・シリア・イスラム国=ISIS) 戦士に占拠されていた。
ヌーリー・マリキ前首相の時代は、政府が徹底した反スンニの派閥政策をとり、イラク治安部隊が人権侵害を繰り返していたことで批判されていた。アムネスティ・インターナショナルは「バグダッドでの反政府抗議運動に軍が過剰な武力行使を加えた。実弾や音爆弾、その他の兵器を使用して平和的な抗議運動を分散させた」と報告している。
2006年に就任したマリキ前首相は、自らが率いる与党のダーワ党党員からの退陣要請を拒否してきたが、次第に孤立を深め、退陣に追い込まれた。アメリカはフアード・マスーム大統領がこの11日にアバディ氏を新首相に指名した決定を歓迎した。スンニ派のサウジアラビア政府とシーア派のイラン政府も同様にこの決断を歓迎した。イラン政府のアバディ氏支持は、マリキ前首相にとっては大きな痛手となった。イランの最高指導者アーヤトッラー・アリー・ハメネイ師は、イラク政局でも最も発言力のある1人と見なされている。ハメネイ師は、これまでマリキ政権を強力に支持してきた。
退陣表明したマリキ首相
ハメネイ師は12日、テヘランで「イラクの新首相任命が結び目を解いて新政府の樹立に繋がることを望む。そしてイラクの治安妨害を目指す者たちの教訓となるように」と述べたと、彼のウェブサイトは伝えている。
アバディ新首相はサダム・フセイン前大統領の時代はイギリスに亡命し、電子工学を学んだエンジニアという経歴を持つ。マリキ首相よりは融和的で、高度な専門知識をもち、各宗教派閥や民族に対して、対立を超えて対話を図るものと見なされている。
6月に行われたハフィントンポストUKの独占インタビューで、当時イラク国民議会の国家財務委員長を務めていたアバディ氏は、北部でその権利を侵害されているスンニ派のイラク人に対しイラク治安部隊に「過剰な行動」があったことを認めた。「我々は苦情に耳を傾ける必要がある。中には主張が正しい者もいるし間違っている者もいる」とその時点で語っている。
アバディ氏は現在、30日以内にバグダッドで政府を発足させることになっている。
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