男子サッカーワールドカップ・カタール大会のイラン代表が、沈黙で力強いメッセージを伝えた。
イランの選手たちは11月21日、ハリーファ国際スタジアムで行われたイングランドとの試合前に、自国の国歌斉唱を拒否した。
この沈黙は、イラン国内で続く抗議活動への連帯だと見られる。
また、国歌が演奏されている間、スタンドに集まったイランのファンからもブーイングが起きた。
死に抗議、声を上げるイランの人々
イランでは、22 歳のマフサ・アミニさんの死をきっかけに、大規模な政府への抗議活動が続いている。
アミニさんは9月13日、ヒジャブで髪をしっかり覆っていなかったという理由で道徳警察に身柄を拘束された。
目撃者によると、アミニさんは警察に警棒で殴打され、車両に頭を打ちつけられていた。そして拘束から3日後の16日に亡くなったが、警察は死因を自然死と発表した。
イランでは、女性は公の場でのヒジャブ着用を義務付けられているが、保守穏健派のハッサン・ロウハニ元大統領の政権下では、法律はそれほど厳しく施行されていなかった。
しかし、2021年に保守強硬派のエブラヒム・ライシ氏が大統領に当選して以来、取り締まりが厳しくなった。
アミニさんの死後、イランでは10代を含むイランの女性たちが、ヒジャブを着けずに外出したり衣服を燃やしたりして抗議の声をあげているほか、警察の暴力を動画に記録している。
治安部隊は暴力的な取り締まりを強化しており、イラン・ヒューマン・ライツによると、これまでに少なくとも378人が殺害された。
イラン代表も抗議への連帯を示す
イラン代表の中には、21日の試合前から抗議活動への支持を表明した選手もいる。
CNNによると、これまでに複数の選手がソーシャルメディアのプロフィール写真を黒に変えた。
その一人、サルダル・アズムン選手は9月、インスタグラムストーリーに「簡単に人々を殺す奴らは恥を知れ。イランの女性たち、万歳」と投稿している。
また、チームキャプテンのエフサン・ハジサフィ選手は、20日に開かれた記者会見でイラン人は「幸せではない」と語った。
「私たちの国の状態は間違っていて、国民が幸せでないということを受け入れなければなりません」
「私たちは今この場所にいますが、それは私たちが彼らを代弁してはいけない、もしくは彼らを尊重していないという意味ではありません」
「すべては、彼らから来ています。私たちは闘わなければなりません。素晴らしいパフォーマンスをして、ゴールを決め、結果で勇敢なイランの人たちを代表しなければならないのです」
ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆しました。