イラン政府が1月5日に、ウラン濃縮に関する一切の制限を放棄すると発表したと、ロイター通信などが報じている。イランの国営テレビが伝えたといい、過去に定められた核作業に関するあらゆる制限を尊重しないと説明したという。2015年にアメリカなどの6カ国と結んだ核合意からさらに後退することとなる。一方で、国連の監視活動への協力は続けるとしているという。
アメリカがイラン革命防衛隊の要人であるソレイマニ司令官を3日に隣国イラクで殺害したことから、イランはアメリカへの反発をさらに強めていた。ニューヨーク・タイムズは、「ソレイマニ司令官の殺害に関連し、イラク議会でアメリカ軍の追放に関する投票が行われたことに今回の声明が続いた」と報じており、中東情勢の混乱に拍車がかかっている。
イラン核合意とは?
コトバンクによると、イラン核合意とは核兵器開発を疑われていたイランと、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、中国、ロシアが2015年7月に結んだ合意のこと。正式名称は「包括的共同行動計画(JCPOA)」だ。
イランが濃縮ウランや遠心分離機を大幅に削減し、これを国際原子力機関(IAEA)が確認したのち、イランへの経済制裁を段階的に解除するというもの。
IAEAの定期的な査察によって、イランが合意事項を順守していることが確認されたが、2018年5月にアメリカ・トランプ大統領が核合意からの離脱を発表したことで、状況は一変した。反発したイランは、2019年5月以降に核合意の制限を守らないという対抗措置をとっていた。