蚊は単に人間をイラつかせる厄介者ではなく、地球規模の殺人者だ ――ダラスに住む12歳の少年、デビッド・コーエンくんはそう思い、蚊を駆除するロボットを発明した。彼は2014年の始めに、全米の中学生を対象にした科学技術コンテスト、Discovery Education 3M Young Scientist Challengeに、高圧水流を噴射して蚊を水中で溺れさせるロボットを出品し、最終選考の10人の1人に残った。
このコンテストには、応募時点で5年生から8年生まで(日本の小学校5年生〜中学2年生にあたる)の生徒が参加でき、優勝者には2万5000ドルと、"アメリカで最も優秀な若い科学者"の称号、そして旅行がプレゼントされる。
ハフポストUS版の取材に対して、コーエンくんは蚊が媒介するマラリアによって毎年およそ62万7000人の人々が亡くなっており、その多くがサハラ以南のアフリカの発展途上地域の人たちだ、という問題を指摘した。そして彼がこのアイデアを思いついたのは、彼の家族がマラリアに冒されたのがきっかけだ、と話してくれた。
「僕の姉妹が蚊に刺されたところを掻いて、ブドウ球菌感染症にかかってしまったんです。彼女はとても痛がって歩くこともできませんでした。抗生物質を投与して完治するまでに2〜3週間もかかりました」。彼によると、テキサスの暑く湿った気候は蚊にとって理想的な環境でもあるようだ。
他の最終選考者と同じように、彼がロボットを完成出来たのは、よい指導者と巡りあえたからだ。彼は今回、コンテストを主催した化学・電気素材メーカー3Mの消費者ヘルスケア部門で、先進的な新製品の開発スペシャリストとして働いているデロニー・ランガーアンダーソンさんとペアを組んだ。
コーエンくんと、彼の指導員、デロニー・ランガーアンダーソン
写真提供 3Mヤング・サイエンティスト・チャレンジ
マラリアの専門家とコーエンを引き合わせたランガーアンダーソンさんは、この12歳の少年がもつユニークな視点から問題を捉えることができる能力があるから、素晴らしい科学者になれると言う。
「デビッドはマラリアの問題を、違った角度から見ていました」とランガーアンダーソンさんはハフポストUS版の取材に答えた。「もし幼虫から成虫になる前に退治することができれば、病気を媒介することを防げるのではないか、と彼は考えたんです。そしてその“もし蚊が生まれなかったら”という考えを、ロボットの制作に取り組んでいるときもずっと考え続けていました」
ランガーアンダーソンさんは、コーエンくんの発明がマラリアや西ナイルウイルスといった病気を減らすことができるかどうかはまだ分からないが、彼のような若い世代が、世界が直面している問題を積極的に解決しようとしていることはとても素晴らしいと考えている。
「デビッドのような子供たちには、私たちの国や世界の発展途上地域に住んでいる人々の将来に影響を与え、変えていくという可能性があると思うんです」
2014年のDiscovery Education 3M Young Scientist Challengeの最終選考者たちは、10月13日と14日にミネソタ州セントポールでそれぞれの作品を発表し、残念ながらコーエン君は優勝を逃した。優勝者には、二酸化炭素を電気に変えることができる革新的なバッテリーを設計した、ピッツバーグのサヒル・ドーシくんが選ばれた。彼の作った“the PolluCell”は二酸化炭素排出量を減らすと同時に、発展途上国などで電力が行き届いていない人々に電力を供給する助けになると期待されている。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
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