「小さなブリキの箱が唯一の持ちもの」秘められた男子修道院の全貌を明らかにした映画『大いなる沈黙へ』【画像】

グランド・シャルトルーズ修道院は、カトリック教会の中でも特に戒律が厳しいことで知られるカルトジオ会の男子修道院。修道士たちは、毎日を祈りに捧げ、一生を清貧のうちに生きる。自給自足しながら、藁のベッドとストーブである小さな独房で過ごす。そして、彼らの会話は、日曜の昼食後、散歩の時間だけ許されている。ただ聞こえてるのは、礼拝の聖歌だった。

フランス・アルプス山脈の山奥にある厳格な修道院の全貌を明らかにする映画「大いなる沈黙へ」が、7月12日から東京・岩波ホールで公開されている。

グランド・シャルトルーズ修道院は、カトリック教会の中でも特に戒律が厳しいことで知られるカルトジオ会の男子修道院だ。

修道士たちは、毎日を祈りに捧げ、一生を清貧のうちに生きる。自給自足しながら、藁のベッドとストーブのある小さな独房で過ごす。彼らは、小さなブリキの箱が唯一の持ち物だった。彼らの会話は、日曜の昼食後、散歩の時間だけ許されている。ただ聞こえてるのは、礼拝の聖歌だった——。

修道院では、ラジオもテレビも許されていない。世の中の情勢については院長から修道士に伝えられるという。そして、1年に2度、修道士たちは家族からの訪問を受けることができる。

そんな俗世間から隔絶された修道院の世界を、ドキュメンタリーで明らかにしたのはドイツ人のフィリップ・グレーニング監督。監督が同修道院に撮影を申し込んだのは、1984年。それから16年後の2000年、修道院の扉は開かれたという。

雲のようにつかみどころのない映画、私が最初にこの作品のアイデアを思いついた時、こう表現していた。そしてこの考えは、1984年に私が初めてカルトジオ会の修道士に会った時も、1年後に、彼らに「今はまだ早すぎる、10年か13年後であれば」と言われた時も、2000年に、修道院から「まだ興味を持ってくれているなら」と電話をもらった時もまったく変わっていなかった。

(「映画『大いなる沈黙へ』オフィシャルサイト」より)

監督は、6カ月近くを修道院で過ごした。修道会との約束に従い、ナレーションや照明を使わず、ひとりでカメラを回しつづけた。修道士たちと同じように、決められた日々の勤めをこなしながら、独房で暮らした。その日々について「映像を撮り、音を録音し、編集した。それはまさに、静寂を探求する旅だった」と振り返っている。

本作は、2006年サンダンス国際映画祭で審査員特別賞を受賞するなど、多くの賞を受賞している。

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