インド初の無人火星探査機「マンガルヤーン」が9月24日、火星の周回軌道入りに成功した。探査機の火星軌道への到達は、アメリカ、旧ソ連、ヨーロッパ各国が共同で設立したヨーロッパ宇宙機関に次ぐ4番目で、アジアの国としては初の快挙となった。
■モディ首相「エリート国の仲間入り」
マンガルヤーンは2013年11月5日にインド南部の宇宙センターから打ち上げられ、約6億6600万キロを旅して周回軌道に到達した。
インドは格段な低費用と独自技術により、宇宙大国入りを目指している。今回の軌道到達の成功は、外資を呼び込むために自国の技術力や低コストを売り込む好機となりそうで、加えて国威発揚にもつなげる。時事ドットコムなどが報じた。
インド宇宙研究機関(ISRO)によると、マンガルヤーンは小型車ほどの大きさで、重さ1.35トン。半年にわたって火星を周回し、生命体の痕跡を示す大気中のメタンガスなどを測定する。
今回の火星探査ミッションの予算総額は45億ルピー(約80億円)と格安だ。モディ首相は火星軌道到達を受けた演説で「ハリウッド映画の制作費より安い」とジョークを飛ばしつつ、「新たな歴史をつくった。おめでとう」とISRO職員をたたえた。
(時事ドットコム「インド探査機、火星軌道に=アジア初の快挙」より 2014/09/24 14:53)
バンガロールにある管制センターで演説したモディ首相は、さらに「インドは世界のエリートクラブの仲間入りを果たした」とも語り、国民を鼓舞した。
マンガルヤーンのコストの7400万ドルは、9月21日に先だって火星軌道に到達したアメリカ空宇宙局(NASA)探査機「メイブン」の6億7100万ドルの11%にすぎない。さらに、宇宙飛行士を描いたハリウッド映画「ゼロ・グラビティ」の製作費の4分の3程度ともされている。
■到達が難しい「火星の呪い」
火星への着陸や周回軌道への探査機の投入は、NASAによると1960年以降、マンガルヤーンを含めて43回あるが、そのうち、日本や中国を含めた20回以上が失敗している。計画達成の難しさから「火星の呪い」と呼ばれる。
マンガルヤーンの成功は、中国などの周辺諸国に対してインドの国威を示す上でも重要な意味を持つ。中国は2011年にロシアと共同で火星探査衛星を打ち上げたが計画は失敗。日本が1998年に打ち上げた「のぞみ」も燃料トラブルのため失敗に終わっていた。
(CNN「インドの探査機も火星軌道に到達、アジアで初」より 2014/09/24 15:07)
インドは、2022年までに有人宇宙ステーションを完成させる計画を進めている中国に後れを取らないよう、努めている。
■地元メディア「中国に見せつけた」
一方、地元メディアは「宇宙大国の仲間入りを果たした」と興奮気味に報じている。
日本、中国を出し抜いてアジア初の成功を達成したことから「インドが低コストの宇宙開発の中心地だけではなく、問題解決へ導ける国ということを中国に見せつけた」(大手紙ヒンズー電子版)などと報じた。
(サンケイビズ『火星軌道到達 印首相「エリート国の仲間入り」』より 2014/09/25 09:20)
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