日本でも話題となったインドの高額紙幣廃止から約半年、ここインドでは今何が起きているかご存知でしょうか。今月7月1日モディ首相はまたもや新たな経済政策を実施しました。それが物品・サービスの税を一律にする税政策、通称「GST(The Goods and Services Tax )」。インドでは独立以来70年、大きな税制改革が行われず税制度が複雑でしたが、この度ついにモディ首相が動き出しました。各国はインド経済に更なる抜本的変化が起きると予想。今回は「GSTが導入されたことで、インド経済がどう変わるか」について解説します。
GST(The Goods and Services Tax )とは、これまで州ごとに違った税制度で扱われていた物品とサービスの税を一律にする制度。具体的に言うと、今まで一つの商品に消費税、州関税、付加価値税などあらゆる税が課されていましたが、それらがGSTに統一されます。また、GSTは物品サービスの種類毎に5つの税率に分類されます。
0%...生活必需品(野菜、卵など),教育品、医療サービス
5%...飲み物(お茶、コーヒーなど)、一般消費物(靴下など)
12%...加工品(バター、ジャムなど)
18%...嗜好品(アイスクリームなど)、コンピュータ・プリンター
28%...贅沢品(自動車、テレビ、エアコンなど)
●GSTのメリット
GSTが導入されるメリットは二つ。
1,税収の効率化により、生産コスト削減
今まで州毎に分かれていた税制が統一されたことによって、税処理効率が上昇。無駄な生産コストが省かれた分、物流会社は利益増幅が期待できます。また、一部の商品は従来より安く買えるので、消費が進み経済も活性化。
2,脱税を一掃、国民に税を還元
導入前の複雑な課税方法では、税法を悪用した脱税や横領が行われていましたが、今回のGSTの導入により誤魔化せなくなりました。それらのお金がきちんと経済で回りはじめ、政府は今まで以上に税金を国民のために使うことができます。
●GSTのデメリット
短期的なデメリットも二つあります。
1,税改革の実施コスト
GST制度を実施するにあたって今までの税制度から変える必要があるため、実施コストがかかります。利益が出るまでに時間がかかるでしょう。
2,贅沢品は更に高額に
車、テレビなどの贅沢品は税率が28%と高いため、これまで以上に高額になり国民の贅沢品の消費は減少する可能性あり。しかし、各自動車会社も値下げで対応するなど、動きをみせています。
影響が大きい業種は?転職するなら物流会社が狙い目?
GSTの導入前、物流会社は複雑な税制のため関税を余分に払う必要がありました。しかし、導入後はその必要が無くなり余分な税コストが減ります。また、税収も効率化されるので、移動が速くなり交通コストも削減できます。よって、二つのコストが減少し、企業は今までより安く商品を提供できるようになると考えられます。これにより人々の消費は増え、物流会社が全体として一番利益が得られることになるでしょう。もし海外転職を希望されるなら、物流会社が今の狙い目です。実際弊社を通して大手物流会社にすでに3名の方がインド転職されました。
高額紙幣廃止に続くモディノミクス第二弾のGST。その効果とメリット・デメリットについて理解していただけたでしょうか。税処理の効率化、脱税の一掃の効果というGSTの経済効果が大きく発揮された時、一部のメディアではGDP成長率を2%も上げると予想。ライバル中国とのGDP成長率が現在僅差なので、GSTが上手く働けばますますインドが突き放すことになるでしょう。モディ首相の更なる改革に今後も期待。
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