研究ポータル「VoxEU.org」に発表されたコラムによると、「西欧諸国」とそれ以外の国々との間の所得格差は、1800年から2000年までの200年間に驚くほど拡大したようだ。
ハーバード大学経営大学院のディエゴ・コミン准教授と、仏トゥールーズ経済学院(TSE)のマルティ・メスティエリ研究員によると、「西欧諸国」は、1800年には世界の残りの地域と比べて90%豊かだったが、2000年にはその差は750%まで膨れ上がったという(リンク先の注によると、「西欧諸国」には、米国やカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、日本も含まれている)。
格差がこれほどまでに広がった主な理由として、コラムでは2つの点が指摘されている。開発途上国では新しい技術を利用できる機会が限られていることと、途上国ではこれらの革新的な技術を取り入れるペースが比較的遅いことだ。
新しい技術の導入や採用と生産性の増加とには密接な相関関係があることは研究者たちも述べているが、格差の増大を招いたその他の原因として、暗い事実を指摘する説もある。
そのひとつが、過去500年間に及んだ欧州による植民地化だ。多くの場合は、強制労働など、征服した非西欧諸国から資源を流出させることを目的とした経済制度が導入された。その結果、数百年前には最も豊かで文明が進んでいた国々が、植民地となったことで、現在は最も貧しい国に名を連ねるようになったとする説が、「New York Review of Books」誌に紹介されている。
ただし、トレンドの方向を変えることは可能かもしれない。国際通貨基金(IMF)の「World Economic Outlook」(PDF)によると、2013年における富裕国の経済成長率予測は1.2%であり、新興市場のそれは5%だった。
[Jillian Berman(English) 日本語版:平井眞弓、合原弘子/ガリレオ]
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