「何が大切か」を伝える。自主性な行動を促す。
子供や部下に対して、何かを「自主的にやりなさい」と言うことがあります。
「勉強は自主的にやりなさい。自分の為だから。」
「仕事は人に言われる前に、自主的に探してやってください。」
「自主的」というのは落とし穴で、使った瞬間から相手にとって自主的ではなくなります。
矛盾したメッセージの典型です。
子供にしてみれば「自主的に・・・」を命令されて、さらにやりたくなるのではないでしょうか。
仕事でも同じようなことが言えます。
例えば、お店の店長がスタッフに対して「自主的に・・・」と伝えた場合、
スタッフが店長の側になって考えてくれれば、店長が望む仕事を見つけて働いてくれます。
しかし、多くの場合スタッフは何をすれば良いのかわからないため、店長が望んだ仕事以外をやってしまい、
店長は「何でそれやってるの?」、スタッフは「やってるのに何がいけないの?」と、
お互いが不満を感じてしまいます。
お互いの理解が違えば誤解が生じ、望んだ結果は得られません。
こんなときに役に立つものがあります。
「社是」「社訓」「行動方針」「スローガン」「ミッション」「理念」
等々の具体的でわかりやすい共通認識です。
「誠実」「誠意」「社会貢献」などの具体性に欠けるものは判断基準になりません。
「具体的に何が優先されて、何をしたらよいか」がイメージできていれば、
立場が違ってもそれを元にして指導や教育ができ、困ったときはそれを頼り、そこに立ち返えることができます。
あなた自身も、ミッションや人生の目的等を作っておくと、迷った時の「お守り」になります。
もし、上記のような共通認識が無ければ、具体的な指示をすれば間違いありません。
「お客様を待たせない」「売り場を清潔に保つ」などです。
職場にとって、スタッフとして「何が大切か」が整理されていることが大切です。
メッセージを伝える側が、自分の考えていること、大事なこと、心がけていることがボンヤリしていると、
言葉もあいまいになります。
「心が大事なんだよ」「愛を持って接していこう」「ビッグになる」「あなたらしく」「自分らしく」「オンリーワンで」
等々の、あいまいなことばは行動力を生み出しません。
ビッグでもオンリーワンでもいいのですが、そのことばが「何を意味しているのか」を、
当事者がつかんでいないと歩きだせません。
手始めに何をしたら良いのか、具体的なことを整理し、「何が大切か」を伝えることが大切です。
(2015年08月31日「ボトルボイス」より転載)