国連女子差別撤廃委員会が3月7日に公表した日本に関する最終見解案をめぐり、当初案では、男系男子による皇位継承を定めた日本の皇室典範が女性差別にあたるとして、見直しを求める内容が盛り込まれていたことが分かったと、産経ニュースなどが8日に伝えた。政府が反論し、最終的に記述は削除された。
日本側に提示された最終見解案は「委員会は既存の差別的な規定に関するこれまでの勧告に対応がされていないことを遺憾に思う」と前置きし、「特に懸念を有している」として「皇室典範に男系男子の皇族のみに皇位継承権が継承されるとの規定を有している」と挙げた。その上で、母方の系統に天皇を持つ女系の女子にも「皇位継承が可能となるよう皇室典範を改正すべきだ」と勧告していた。
日本側は4日にジュネーブ代表部公使が女子差別撤廃委副委員長と会い、皇位継承制度の歴史的背景などを説明して「女子差別を目的とするものではない」と反論し削除を求めた。副委員長は内容に関する変更はできないが、日本側の申し入れを担当する委員と共有するなどと応じたという。7日の最終見解で皇室典範に関する記述が削除されたことについて、委員会側から日本政府への事前連絡はなかった。
(【国連女子差別撤廃委】男系継承を「女性差別」と批判、最終見解案に皇室典範改正の勧告 日本の抗議で削除 - 産経ニュースより 2016/03/09 05:00)
国連の女性差別撤廃委員会は、女性差別撤廃条約の実施状況を審査する組織。2月16日にジュネーブで対日審査会合を開き、7日に日本政府に対する勧告を含む最終見解を公表した。2015年に成立した「女性活躍推進法」など、前回2009年の勧告以降の取り組みを評価する一方、再婚禁止期間や夫婦同姓など民法の規定について改正を求め、「過去の勧告が十分に実行されていない」と厳しく指摘した。
最終見解はまた、慰安婦問題の責任をめぐる最近の指導者らの発言や、日韓両政府が2015年12月末に結んだ合意について「被害者中心のアプローチが十分にとられていない」ことなどに遺憾を表明。これに対して日本政府は8日、同委に対して「極めて遺憾であり、受け入れられない」とし、すでに国連側に抗議したことを明らかにしている。
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