パレスチナ自治区のガザ地区では7月16日、イスラエル軍による空爆で死者が200人を超えた。イスラエル軍は、事前に住民に避難するよう警告していた地域を重点的に空爆しているほか、別の地域では艦艇を使った海からの攻撃なども続けており、海岸で遊んでいた7〜10歳の男の子4人が銃撃され死亡した。
東京から約9240km離れた場所にあるガザ地区は今、どのような状況なのか。今回は、東京駅をガザ地区の中心部に置き換えて考えてみよう。
ガザ地区はイスラエルと地中海に挟まれた、長さ50km、幅5〜8kmに渡って細く延びる区域で、南端をエジプトに接している。種子島と同じぐらいの広さで、中心地のガザが東京駅の位置だとすると、北は足立区の北千住から、南は神奈川県横浜市までを斜めに囲むほどの大きさとなる。
ガザ地区の人口は約150万人。約120万人が難民で、さらにそのうちの約50万人が、ガザ地区にある8つの難民キャンプ(地図中の赤いスポットアイコンの位置)に住んでいる。
ガザ地区の難民キャンプの人口密度は、世界で最も高いと言われており、ガザ市中心部にある「ビーチ」という難民キャンプでは、0.52平方キロメートルの場所に8万7000人が住んでいる状態だ。これは、東京で最も人口密度が高い豊島区の7.56倍にあたる。
イスラエルの空爆は、難民キャンプも対象となっており、9日にはマガジの難民キャンプが、15日にはブレイジやヌセイラトの難民キャンプがそれぞれ空爆され、女性や子供、妊婦などの民間人が多数死傷した。この3つの難民キャンプはガザ地区の中部にあり、ガザ中心部を東京駅に置き換えると、大田区のあたりに位置している。
Palestinian children look at the rubble of a destroyed mosque following an Israeli military strike in the Nusseirat refugee camp in the central Gaza Strip, on July 12, 2014. (THOMAS COEX/AFP/Getty Images)
12日には、ガザ地区とエジプトとの国境付近にあるラハフの難民キャンプにもイスラエル軍による空爆があった。ガザ中心部からラハフまでの距離は、東京駅から横浜市戸塚区までと同等だ。
一方、ハマスもイスラエルの都市に向けてロケット弾を発射している。
7日にはガザからイスラエル南部に、8日には、イスラエル中央部のエルサレムや、北部の商業都市テルアビブ、さらに北部に位置するハデラやハイファなどに向けてロケット弾を発射した。
これらの都市は東京駅から見て、エルサレムが茨城県の鹿嶋市近くに、テルアビブが茨城県の筑波山あたりに、ハデラが栃木県の「ツインリンクもてぎ」のあたりに、ハイファはちょうど茨城県と福島県の県境に位置する。ガザ中心部とテルアビブは約70km、ハイファは145km離れている。
9日には、ガザからイスラエル南部のディモナ原子力センターに対してもロケット弾が発射された。このセンターには、原子炉や、何らかの核関連施設があると言われている。東京駅から見ると、千葉県勝浦市のあたりに位置する。
ロケット弾の多くは、ガザ市街地の空き地から発射されている。ロケット弾発射の失敗により、周辺の家が破壊されたり、市民が死亡したりする事故も起きているという。
イスラエルはガザからのロケット弾を、「アイアンドーム」と呼ばれるミサイル迎撃システムで撃ち落としており、「住民に不安を与えるとしても安全保障上の大きな脅威にはならない」と分析する専門家もいる。
エジプトが仲介役となって呼びかけていた停戦案は、パレスチナ側のハマスや武装組織イスラム聖戦が認めず、闘争は激化の一途をたどっている。停戦案を受け入れなかったハマスについて毎日新聞は、現在のエジプトのシシ政権が、クーデターに拠って倒されたモルシ政権と違って反ハマス路線であることを指摘。「ガザ側がエジプトに向けて掘削した密輸用トンネルを破壊し、境界のラファ検問所も封鎖した」として、ハマスがエジプトに対しても検問所の全面開放を最大の目標に戦闘を続けている様子を伝えている。
ガザ地区は周りを海と壁で囲まれて封鎖されており、出入りはイスラエルによって監視されているため自由がない。多くの人が負傷しているが、封鎖によって治療のためにエジプト側に出られず、また、救援部隊も入れない状態となっており、深刻な状況となっている。
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