山本一太大臣が、11月1日の定例記者会見で、ICT競争力ランキングについて言及した。当日、大臣が配布した資料が内閣府より公開されている。
山本大臣が言及したICT競争力ランキングとは、世界経済フォーラムが4月10日に公表した『Global Information Technology Report 2013』に掲載された「Networked Readiness Index 2013」ランキングを指している。山本大臣の資料の通り、確かに、わが国は21位であり、2012年から3ランク下降している。調査項目の半数(27項目)は各国経営者へのアンケートに基づくものであり、日本人経営者が、特有の謙虚さから、自国の規制/制度や社会的効果について低く評価した結果が低ランクをもたらした、と大臣は分析している。そのうえで、「経営者アンケートで過小に評価されている項目については、業界団体との意見交換の場などを活用して、我が国のICTの現状について一層の理解を広く得るための活動を行っていく」と決意を表明している。
この発言には違和感を覚える。そもそも、「Networked readiness index」は国家がネットワークに備えて、利用しているかを評価する物差しであり、ICT競争力そのものではないし、わが国の規制/制度がICTを受け入れ利用する方向に整っていないので、経営者が低く評価したと思われるからだ。だからこそ、三木谷氏は産業競争力会議の議員を辞任することになったのではないか。
友人に教えられて総務省の「地域情報化の推進」を紹介するサイトを閲覧した。そこには、百を超えるとも思われる、膨大な数の実証実験事例が列挙されていた。これだけの実験を重ねていながら、医療連携・遠隔支援から行政業務改善、教育支援や人材育成・活用、雇用創出に至るまで、ICTが上手に利活用されていないのはなぜだろう。その責任の一部に、規制/制度があることは明らかではないか。
山本大臣はこれら規制/制度の撤廃に向けて旗を振るべきであって、それを進めない限り、経営者の理解が深まることはないだろう。また、安倍内閣を民間から支えてきた三木谷氏を止めることもできないだろう。