2014年4月1日から消費税が8%に増税されることに伴い、首都圏と関西圏のJR、私鉄各社の価格転嫁方針が分かれた。首都圏はSuica、PASMOのICカードを利用した場合は1円単位、券売機で切符を買うと10円単位の値上げになる。
■首都圏はSuica、PASMOだと1円単位
首都圏の私鉄各社は12月19日、新運賃を発表した。JR東日本も12月12日に発表している。
運賃を発表したのは、小田急電鉄、京王電鉄、京成電鉄、京浜急行電鉄、相模鉄道、西武鉄道、東京急行電鉄、東京メトロ、東武鉄道、首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレス)、東京臨海高速鉄道。都営地下鉄もICカードを1円刻み、切符を10円刻みにする方針だ。
140円の区間は、ICカードを使う場合は144円、切符は150円になる。11社とJR東日本の東京近郊の区間では、鉄道会社をまたいで乗車した場合を含め、常に切符よりICカードの運賃が安くなる。
(朝日新聞デジタル「首都圏鉄道11社、ICカードは1円刻み新運賃」より 2013/12/20 00:21)
切符の運賃は10円単位で四捨五入するため、東京近郊(東京都内全域と神奈川、千葉、埼玉、茨城の各県の一部)以外の区間では、切符の方が安くなることがあるという。朝日新聞デジタルは別の記事で以下のように紹介している。
初乗りだと今の140円がICカードでは144円、切符では140円になる。特急券や指定券も「10円刻み」にして、10円未満は四捨五入する。
(朝日新聞デジタル「JR東値上げ、ICカード1円刻み 切符は10円刻みに」より 2013/12/13 08:17)
■関西は切符もICも10円単位
一方、JR西日本や東海などは、ICカード、切符とも10円単位の値上げで統一する。
ほかのJR5社では1円刻みの運賃は採用せず、基本的に10円未満を四捨五入して10円刻みの運賃にする。東海道新幹線のぞみ号(指定席)の東京―新大阪間は今の1万4050円から1万4450円になる。
(朝日新聞デジタル「JR東値上げ、ICカード1円刻み 切符は10円刻みに」より 2013/12/13 08:17)
関西の私鉄も同様に10円単位にそろえる値上げを申請した。
国土交通省は10月29日、増税分の「取りすぎ」を防ぐため、鉄道とバスの運賃のICカード型乗車券に限って1円単位での値上げを認めることを明らかにしていた。
■背景にカード普及率の差?
首都圏と関西で対応が分かれた背景には、ICカード乗車券の普及率の問題があるようだ。SankeiBizは以下のように分析している。
関西で発行されるICカードは、JR西の「ICOCA(イコカ)」と私鉄などの「PiTaPa(ピタパ)」。発行枚数はそれぞれ、約853万枚と約245万枚で、利用客への普及率は定期外だと3~4割にとどまる。
関西にはICカードが使えない郊外駅があり、回数券などの人気が根強い。自動券売機で買えるプリペイドカードの愛好者が多い上、ピタパは利用料金が後で金融機関の口座から引き落とされる方式で、「与信審査のためにカード発行に時間や手間がかかることも普及率低迷の一因」(関西私鉄幹部)とされている。
(中略)
これに対し、首都圏ではJR東日本の「Suica(スイカ)」は約4442万枚、私鉄各社の「PASMO(パスモ)」は約2364万枚も出回っている。普及率は約8割と高く、利用者の理解が得られると考えていることが1円刻みの導入の背景にあるようだ。
(SankeiBiz「関西の鉄道ICカードが「1円刻み」にできないワケ」より 2013/10/26 12:00)
【※】切符とICカードで運賃に差が出てもいいと思いますか?皆さんのご意見をコメント欄にお寄せください。
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