これまで、「馬車の住居」と「フェイスブックのアカウント」は、同じ人物の持ち物リストに入らないと思われてきた。しかし、イギリスにいる「トラベラーズ(流浪する人たち)」の姿を見れば、その考えも変わるだろう。
ごく少数ではあるものの、自由な生活を送るために、定住のしきたりや責任を捨てた人々の中には、古くからの伝統と最新技術を組み合わせて使う人たちがいるのだ。
イアン・マッケル氏の美しい写真集『現代社会を馬車で流浪する人々の写真集』は、自由に生きる現代のボヘミアンたちを紹介するものだ。
英国には、「スコッティッシュ・トラベラーズ」「アイリッシュ・トラベラーズ」と呼ばれる各種の伝統的な移動民族がいる。マッケル氏のインタビューによれば、同氏がテーマにしたのは1980年代の「ニューエイジ運動」から生まれた「新しいトラベラーズ」であり、音楽祭やフェアなどを渡り歩く、いわゆるヒッピー系の人々だ。彼らの中には、太陽光発電や携帯電話、パソコン等を使う人たちもいるという。
マッケル氏は、標準的なドキュメンタリー写真のスタイルではなく、ファッション雑誌を思わせるような幻想的な写真を撮影している。そして、被写体とそれを見る人の間に、不思議な結びつきを作り出している。
マッケル氏はイギリスのファッション&カルチャー誌『アナザーマガジン』でのインタビューで、この写真集を制作した意図について次のように説明している。「流浪生活を行う人々についてのわれわれの見方に疑問を投げかけ、自身の存在を見直したかった。人は誰でも、心の奥底で自然と自由を望んでいる。それは、別の生き方があるのかもしれないという感覚や、現在の生活を送るためにわれわれが満たそうとしている基準について疑う感覚だ」
マッケル氏の写真をまとめた『現代社会を馬車で流浪する人々の写真集』は、発売から6ヵ月で完売となった。同氏のウェブサイトでも、作品を見ることができる。
[Priscilla Frank(English) 日本語版:兵藤説子、合原弘子/ガリレオ]
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