病気の時こそ、綺麗でいたい。

患者にとって最も苦しい時に、しっかり寄り添える場所があることはどんなに心強いことでしょう。
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米良はるか

化粧する時間があったら、もっと仕事にまわしたら

「米良さんが化粧の時間を削れば、もっと仕事に集中できるんじゃないの?」

会社を立ち上げたばかりの頃、メンターにそうからかわれました。

男性から見れば、仕事に集中しなければならない時に、見た目に時間をかけていることは違和感があるのかもしれない?と、そのとき思いました。

先日会社のメンバーからも、米良さんはいつでも化粧も服装もバッチリですが、特に気をつけているのですか?と質問をされ、そういう印象を持たれているのだなと改めて思ったわけです。

私にとってメイクとファッションは、オンモードへの切り替え

低体温の私は朝がめちゃくちゃ苦手ですが、お風呂に入って、メイクをして、

着替えて・・・・鏡を見て、ニコッと笑うと「米良はるか」モードに入ります。

だから、抗がん剤治療に入る前、体中で脱毛が起こると聞かされたとき、

死を意識した時と同じくらい、自分を失いかけました。

私は、7月から抗がん剤を半年受けており、その抗がん剤の副作用が全身脱毛でした。

顔の産毛、腕の毛、体中に生えている全ての毛がキレーになくなります。そして当然、髪の毛やまつげといった、女性が特に意識する部分も全てなくなります。

「私は病人というカテゴリーの人として生きていかないといけないのか」

そんなことを感じると、とても卑屈になっていきました。もう米良はるかはいないも同然なのだと落ち込みました。

そんなとき、病院のロビーで見つけた医療用ウィッグのチラシ。

なるほど、こういうものがあるのか・・そういえば、以前Readyforで医療用ウィッグに関するプロジェクトを応援したことがあったな!と思い出しました。

プロジェクトの実行者だった岩岡さん、赤木さんとはプロジェクトのご縁で、一緒にイベントに登壇することがあり、少しだけ面識はありました。まだ自分の病気について公表をする前で、家族以外の人に伝えることも勇気がいることでした。でも、思い切って連絡をとってみました。

すると、すぐにレスポンスがあり、近々東京に行くから一度ゆっくり話しましょう、と言っていただきました。

「大変だったね。でも大丈夫だよ。沢山の患者さんをみてきたけど、元気になっているからね。」

お二人が最初にかけてくれた言葉。それから私は1時間以上も、今の気持ちや見た目についての不安など全てを訴えました。

岩岡さん、赤木さんはNPOふくりびという団体でがんの患者さん向けに、医療用ウィッグを製作したり、美容のサロンをやっているので、何百人もの患者さんを見てきています。

「私たちが、今と全く変わらない髪型に仕上げてあげる!」

それから、まつげやメイクやネイルの話など相談したら、専用の化粧品などで前と同じようにメイクできるということがわかりました。

「ショートもロングも作って、気持ちに合わせて、付け替えてみてもいいかもね!」

と明るく話してくれたおかげで、帰宅する頃には、どんな髪型にしようかなと楽しみになって行く自分がいました。

抗がん剤を入れて、3週間後、5日間くらいで全て無くなってしまった髪ですが、彼らとのこの会話があったから、この辛い瞬間を笑顔で乗り越えられたと思います。

病気の時だからこそ綺麗でいたい

国立がん研究センターが実施した抗がん剤の副作用の苦痛度調査(09年)によれば、「頭髪の脱毛」は女性では1位でした。

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参考画像:治療に伴う身体症状の苦痛TOP20
国立がん研究センター中央病院

私にとっても、本当に大きなものでしたが、お二人があの時、ウィッグとともに、心のケアをしてくれたから、今私は元気に過ごすことができ、美容をケアする自信も取り戻すこともできました。

おかげさまで、私は復帰後様々なメディアにも出て、前と変わらず過ごせています。

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撮影:筒井義昭(初出:NTTデータ広報誌『INFORIUM』第8号)
筒井義昭
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https://www.businessinsider.jp/post-160552
米良はるか

患者にとって最も苦しい時に、しっかり寄り添える場所があることはどんなに心強いことでしょう。彼らは今名古屋で活動をしていますが、東京にもアピアランスセンターを開くことになり、再びReadyforで挑戦していただいています。

もし、苦しんでいる方がいたら、ぜひ岩岡さんたちにご相談してください。絶対救いの手を差し伸べてくださります。

「レッテル」を社会から貼られるのではなく、自分の特徴の一つとして「タグ」のように病気を考えてみたら

これから若い時から病を抱え、副作用を伴う治療をされる方は増えて行くと思います。そんな時、「病気の人」という「レッテル」を社会から貼られるのではなく、自分の特徴の一つとして「タグ」のように病気を考え、これまで通り社会で活躍し続けることができたら・・・と願って、私も自分の病気を公表しました。

ただ、そういった自分に自信を持つためにも、見た目をキープできるかどうかは本当に大切なことだと思います。

お二人の活動が世の中にどんどん広まって行くことを願っています。

(2018年4月16日「note(米良はるか)」より転載)

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