テキサス州オースティンで2月15日に開催された「オースティン・マラソン」で、勝利に向けて快調に走っていた29歳のケニアのマラソンランナーHyvon Ngetich選手は、ゴールまであと約300メートルになったところで突然体が動かなくなり、その場に崩れ落ちてしまった。
走るどころか歩くこともできないNgetich選手のもとに医療スタッフが車椅子を運んできたが、Ngetich選手は車椅子を拒んで這いながら進み始めた。彼女はゴールまであと2メートルのところで追い抜かれてしまったが、3位でレースを終えた。
オースティン・マラソンの最高責任者、ジョン・コンリー氏は、Ngetich選手を「地球上でもっともタフな人間」と称賛し、賞金を2位の選手と同じ金額に増額。「あなたは、これまでに見たどんな人よりも勇敢にレースを走り、勇敢に這って進んだ。あなたの栄誉をおおいに称えます」とNgetich選手に語りかけた。
コンリー氏によれば、医療テントで診察を受けたNgetich選手は、血糖値が危険なほど低くなっていたという。レース後「BBCワールドサービス」ラジオに対して、Ngetich選手はゴールしたときの記憶がないと話した。
「何が起きたのか思い出せません。フィニッシュラインは見えていませんでした。這っていたことも含めて、何も覚えていません。倒れたことさえ覚えていないくらいです」とNgetich選手は語っている。
Ngetich選手のフィニッシュは感動的だが、しかしクリーブランド・クリニックのスポーツ医療専門医でクリーブランド・マラソンの医療責任者も務めるローラ・ゴールドバーグ医師は、ABCの取材に対して絶対にNgetich選手の真似をしてはいけないとコメントしている。
「スポーツエリートではない一般人の場合、這ってまでゴールする必要は全くありません。今回の話を聞いて、一般の人たちが影響されないかと心配です」
今回のつらい体験にもかかわらず、Ngetich選手は、来年もオースティンに戻ってくるつもりだとメディアに語った。「走ることはいつだって前へ進み続けることです」
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:梅田智世、合原弘子/ガリレオ]
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