百田尚樹氏「私なら、もっと汚い言葉で罵っています」 安倍首相の「こんな人たち」発言に持論

作家の百田尚樹氏が都内で『日本に於ける言論の自由』をテーマに記者会見し、持論を展開した。
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Wataru Nakano

作家の百田尚樹氏が7月4日、都内の日本外国特派員協会で『日本に於ける言論の自由』をテーマに記者会見し「これまでヘイトスピーチや差別煽動発言は一度も行なっていません」と述べ、一橋大学で予定されていた講演会が中止になったことに不満を述べた。

さらに、安倍晋三首相が東京都議選の応援演説で聴衆の一部から「安倍辞めろ」などとコールが巻き起こったことに対して「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と発言したことについて擁護した。

百田氏をめぐっては、6月10日に一橋大学(東京都国立市)で予定されていた講演会が中止になった。学園祭『KODAIRA祭』の企画の一つだったが、百田氏のこれまでの発言が「差別的だ」などとして学生らから抗議の声が上がり、実行委員会が開催を断念した

「レイシストというレッテルを貼って、私の発言を封じ込めた」

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会見で話をする百田尚樹氏=東京都千代田区の日本外国特派員協会

百田氏は会見冒頭、一橋大学の講演会が中止となった理由について、慰安婦など歴史否定や在日外国人に対するヘイトスピーチを繰り返してきた百田氏に発言させるわけにはいかないと、大学内にある『反レイシズム』の学生団体が学園祭の実行委員会に強く要望したたと説明。「圧力」を受けた実行委員会は「万が一の事態」が起こらないように警備を強化したが、警備が大きくなりすぎたため学園祭の他のイベントに影響が出るとして講演を中止したと、経緯を語った。

しかし、百田氏は学生団体がヘイトスピーチだとする過去の自身の発言を読み上げた上で、「これまでヘイトスピーチ、並びに差別煽動発言は一度も行なっていません。また、講演のテーマは『現代社会におけるマスコミのあり方』で、人種・民族問題には触れていません」と反論。「私がレイシストだというレッテルを貼って、私の発言を封じ込めました」と述べ、学生団体が差別・極右活動を監視すると宣言していることについて「彼らが定義することを差別と見なし、それを通報する。非常に恐ろしいものだと思います」と持論を展開した。

質疑応答となり、参加者から、公演中止を求める1万人以上の署名が集まったことの重みについて尋ねられた百田氏は「1万人の署名のほとんどが学外のものです」と述べた。さらに「私は民進党とは中が悪い」と続け、民進党の参院議員が中心となって公演反対を求める動きが広まったと主張。「私は韓国・北朝鮮に対して批判的な発言をしています。署名には韓国・北朝鮮の方も非常に多いです」と訴えた。

安倍首相の「こんな人たち」発言については…

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都議選の応援演説をする安倍晋三首相(車上右端)7月1日午後、東京都千代田区のJR秋葉原駅前 

また、安倍晋三首相が東京都議選の応援演説で聴衆の一部から「安倍辞めろ」「安倍帰れ」コールが巻き起こったことに対して「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と発言したことについてもやり取りがあった。

参加者から「帰れコールを受けた安倍首相の対応は上手ではなかった。アドバイスは」と問われ、次のように述べた。

今の話は非常に面白い話でありまして、秋葉原で大勢の聴衆が総理の演説を聞きました。ところがこれを報道した日本のテレビ局は、画像の切り取りをやりました。日本のテレビ局が報道した画面を見ると、聴衆まるで全員が「安倍帰れ」というふうな映像に見えます。ところが実際の映像は、ものすごい広いところに大勢の人がいます。そしてそこのわずか一角だけ、動員された安倍反対派がそこに集結していました。

安倍総理を取り囲む360度の周辺は、ほとんどが安倍総理の話を聞きたい、あるいは安倍総理を応援したいという人で埋まっていました。ところが一角だけ、わずか30メートル四方の一角だけ反対派が陣取っていました。ところが日本のテレビ局は、その一角の周辺にだけに集まっていました。

そして決して全体を写さずに、その一角をクローズアップしてテレビで放送していました。非常に汚い報道のやり方です。そして、安倍総理に向かって彼らは非常に汚いヤジを飛ばしました。ある一角からだけ、そのヤジが飛んでいました。それで安倍総理は「こんなやつに負けるわけにはいかない」と言いました。アドバイスと問われましたが、私なら、もっと汚い言葉で罵っています。

さらに別の参加者から「私は現場にいました。全方位から、安倍総理への批判の文言は飛んでいました。百田さんがおっしゃるような汚い言葉ではありません。ちゃんとした正当な批判でした。『国会をちゃんと開け』『嘘をつくな』とか。百田さんは現場に行ったのでしょうか」と問われ、百田氏は「行っていません」ときっぱり答えた。

さらに質問者が「じゃあ、百田さんこそフェイクニュースではないですか」と突っ込まれると、次のように答えた。

全体像を捉えるのは非常に難しいです。全体の場を捉えるには、全部調査しないといけません。私はある意味、極端な形で申し上げました。もちろん周りにも、安倍総理を批判する人はいたでしょう。ただし私が言いたかったのは、安倍総理を批判する一団がある所に集められていたということです。

そしてテレビはそこを集中的に放送したということ、私はこれが言いたかったんです。私は全体の写真を見ています。私はその現場には行っていませんが、全体の写真は見ていますが、各地に日の丸の旗が上がっていました。テレビでは、これはほとんど見ることはありませんでした。

批判の矛先はテレビ局だけでなく、朝日新聞にも向けられた。質疑応答で朝日新聞記者が「百田さんは過去のツイートの中で、私どもの社長を半殺しにしてやると仰っていましたが、今でもその気持ちにお変わりありませんでしょうか。ヘイトスピーチではないにしても、これほど素晴らしい作品を書かれている作家として、そういう言葉づかいでよろしいのでしょうか」と質問した。

これに対して百田氏は、朝日新聞が北朝鮮のミサイルについて「一発だけなら誤射かもしれない」という内容の記事を過去に掲載していたと述べた上で、「今年の4月に北朝鮮と非常に緊迫した状況になりました。北朝鮮がもしかしたら日本に核ミサイルを打つかもしれない。そこで私はTwitterにこう書きました。『もし日本に核ミサイルが撃ち込まれて、この時、朝日新聞が一発だけなら誤射かも知れませんと言えば、私は社長を半殺しにします』と」と述べ、さらに「何か文句ありますか、社長にも言っておいて下さい」と話していた。

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