パリ同時多発テロで妻を亡くした男性 テロに勝つために「私は憎まない」

憎悪に怒りで応じれば、今のあなたたちのようになるから。
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A man holds his head in his hands as he lays flowers in front of the Carillon cafe, in Paris, Saturday, Nov.14, 2015. French President Francois Hollande vowed to attack Islamic State without mercy as the jihadist group admitted responsibility Saturday for orchestrating the deadliest attacks inflicted on France since World War II. (AP Photo/Thibault Camus)
ASSOCIATED PRESS

11月13日に起こった同時多発テロで、パリ在住のアントワーヌ・レイリスさんは妻を亡くした。3日後の16日、彼はFacebookにこう書き込んだ。

「あなたたちの願い通りに憎しみを抱いたりはしません」

彼の妻で、35歳のヘアメイクアーティストのエレーヌ・ムイヤル=レイリスさんは、バタクラン劇場にいたところを襲われ、殺害された

生後17カ月の息子メルヴィル君と共に残されたレイリスさんは、二人称で文章を綴り無名の相手に話しかけている。その内容は、オランド大統領のいう「容赦ない報復」との表明とは、少し趣が違うようだ。

彼はフランス語で、次のように綴っている。

あなたたちは私に憎しみを抱かせることはできません。

13日の夜、あなたたちは特別な人の命を奪いました ―― 私が生涯をかけて愛する人であり、私の息子の母親です。 しかしあなたたちは私に憎しみを抱かせることはできません。私はあなたたちが何者かを知らないし、知りたいとも思いません。あなたたちは魂を失った人間です。殺人をもいとわないほどにあなたたちが敬っている神が自分の姿に似せて人間を創造したのだとしたら、私の妻の体に打ち込まれた全ての銃弾は、神の心を傷つけたでしょう。

私はあなたたちの願い通りに憎しみを抱いたりはしません。憎悪に怒りで応じれば、今のあなたたちのように無知の犠牲者になるだけです。あなたたちは私が恐れを抱き、同胞に不審な気持ちを持ち、安全に生きるために自由を失うことを望んでいる。あなたたちの負けです。

今朝、私は彼女に会いました。この数日、ずっと待ち望んでいた再会です。金曜日の夜に外出した時と同じように彼女は美しかった。12年前に私を夢中にさせた時と同じように美しかった。もちろん私は痛みに打ちのめされています。その点については、あなたたちは少しは勝利をおさめたのかもしれない。しかし痛みは長くは続きません。彼女はこれからも私たちと共に生き続けます。そして私達は再び自由に愛しあえる楽園で会えるのです。そこは、あなたたちが入れない場所です。

私と息子は二人きりですが世界中のすべての軍隊よりも強い。これ以上あなたたちのために使う時間はありません。メルヴィルが昼寝から目を覚ましたので、彼のところに行きます。彼は生後17カ月。普段通り食事をし、私と遊び、そして幸せで自由な人生を過ごすことで、あなたたちに勝利するでしょう。彼もあなたたちに憎しみ抱くことはありませんから。

19日現在、レイリスさんの投稿は20万人以上に共有されている。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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