人間と植物の部分的な細胞融合に世界で初めて成功したと、大阪大学が10月24日に発表した。植物の染色体が、ヒト細胞環境下で維持されることを解明した。アメリカの科学誌「ACS Synthetic Biology」のオンライン版にも掲載されている。
■「進化の謎を解く一つの手掛かりになる」
ヒトと植物の融合細胞(大阪大学の発表より)
1976年以降、人間と植物双方の染色体を持つ融合細胞を作製する実験が行われたが、実際に増殖可能な融合細胞の作製に成功した報告は皆無だった。
しかし、大阪大学大学院の和田直樹特任助教らの研究グループは、シロイヌナズナという植物の細胞とヒト細胞を融合を試みた結果、部分的にではあるが、世界で初めて人間と植物の融合細胞の獲得に成功したという。
研究グループによると、ヒト染色体を維持する仕組みが植物染色体にも働くことが判明。共通祖先から分岐して約16億年を経ても、人間と植物の間で遺伝子発現の仕組みが保存されていたという。
植物と動物は、お互いの機能がどの程度保存されているか不明だった。大阪大学によると、動物と植物の両者で保存されている機能は、生物にとって極めて重要かつ根本的なものであることが予想され、「進化の謎を解く一つの手掛かりになる」と期待を込めている。
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