3Dプリンティングを底辺への競争にしないために
今日のビッグニュースは、Quartzによると、2014年の3Dプリンティング界を変えるレーザー焼結特許の期限切れについてだ。簡単に言えば、「良い」3Dプリンター ― 具体的には堅牢な射出成型スタイルの作品を作る機種 ― が安くあるいはすぐ手に入らない理由は、古い3Dプリンター会社がレーザー焼結プロセスを人質に取っているからだ。例えば、Form Labsの3Dプリンター、Form Oneはこれらの特許に抵触する。特許にはレーザーを使って微細粉を溶かして作品を作るプリンターが詳細に説明されてるのに対し、Form Oneは液体を使用するのにもかかわらずである。
しかし、それも取るに足らないことだ。なぜならそれらの特許が切れることによって、近々3Dプリンティング品質における底辺への競争が勃発し、過去10年間の家電製品と同じ道を歩むことになるからだ。最初のタブレット群が流行し価格が下がると、市場にひメーカーが溢れた。次は3Dテレビが良さそうだとなると誰もが作った。場所をとらないパソコンでさえ10年ほど前にはちょっとしたブームだった。ひとたび市場に人気があると判断されれば、品質は急激に低下し供給はたちまち増加する。
念のために書いておくと、良い3Dプリンターは5000ドルもする必要がなく、私は2000ドルすら必要ないことに賭ける。しかし、ひとたび3Dプリンターが300ドルの境界を割ったら、要注意だ。この価格ラインでは質が消滅しコストの中心は材料となりABSその他の材料は高騰する。2Dプリンターとインクの価格を思い浮かべれば何が起こるかわかるだろう。
私はアメリカ中の家庭に3Dプリンターがあればいいと思っている。しかし、もっと大切なのは、アメリカ中の家庭に〈良い〉3Dプリンターがあることだ。不安定で設計が悪くサポートが貧弱な3Dプリンターは、誰にも何もいいことがない。MakerbotやForm Labsをはじめとする現在のプレーヤーたちは、ほぼあらゆる消費者向けエレクトロニクス製品に欠けている細部に対して、本気で注意を払っている。人気商品になった時にそれが続くとは私には思えない。
現時点で、3Dプリンティングは生まれたてのインディーズだ。サーファーローザ以前のピクシーズと言ってもいい。ひとたび特許が切れれば、世界は流行に乗って儲けに走る安いハードウェアで溢れるだろう。何を買うべきかに気をつけるのは、われわれの責任だ。
第一に、私はできる限りオープンソフトウェアと教育市場向けのDIYを支持する。DIYは小規模な会社を助ける ― 家では作れない部品を作る連中だ。多くの3Dプリンターのゴールは、自分自身を作れるマシンを作ることだ。これは今後も焦点であり続けなければならない。
第二に、この市場に大企業が出しゃばることを許してはならない。StratasysがMakerbotを買収した時、オープンソース支持者たちを大いに残念がらせたのはもちろんだが、もしDell、HP、Vizio等が市場に参入すれば、どんなゴミが地元の量販店に溢れるかは想像に難くない。3Dプリンティングは一般消費者にもたらすのが困難なテクノロジーだ。巨大メーカーがやるべき仕事ではないと私は思う。
3Dプリンターは、来年間違いなく熱くなる。私はワクワクしている。そして、少しの準備と理解があれば、PalmよりAppleのような未来を約束してくれるだろう。
[原文へ]
(翻訳:Nob Takahashi)
【関連記事】
関連記事