政治資金をめぐる問題で10月20日に辞任した小渕優子前経産相に続き、松島みどり前法相も自身の選挙区で「うちわ」を配布していたとする問題で辞任した。2人の辞任について、海外では日本とは違うニュアンスで報じられている。海外メディアがどう報じているかを紹介しよう。
■「彼女のスタッフが資金を悪用した」とBBC
イギリスのBBCは小渕氏について、「将来首相になるとの見方もある」とした上で、「彼女のスタッフが選挙資金数千ドルを悪用していたことが、先週浮上した」と報じた。詳細な金額などについては触れていない。
また、小渕氏の「私のことで経済政策やエネルギー政策を停滞させるわけにはいかない」とする謝罪の弁や、景気回復や女性が輝く社会など、安倍首相が設定した重要な目標に彼女自身が貢献することができないことを謝罪したことなどを詳しく報じた。
さらに女性閣僚の辞任について「これで終わりではない」として、山谷えり子拉致問題担当相のネオナチ団体との関係を指摘している。
■フランスAFP、「小渕氏の登用は原発再稼働をスムーズに行うため」
フランスのAFPは、「経産相の辞任は安倍政権の大きな挫折」として、特に小渕氏について大きく扱った。
記事では、小渕氏が小渕氏が登用された2つの理由を指摘。1つ目は、2人の子供の母親である小渕氏を経済産業省のリーダーとすることで、働く女性のシンボルとしたかったというもの。もう一つは、40歳の母親のイメージによって、福島第一原発の事故以来停止している原発に対して、その安全性に懐疑的な国民を納得させ、再起動をスムーズに行う目的だったというもの。このため、「安倍政権が小渕氏に大きく依存していた」と指摘している。
記事はさらに、山谷氏や靖国神社に参拝した高市早苗総務相にも言及し、「5つの女性閣僚が、安倍氏にとって迷惑な論争の中心になっている」と展開した。
■「元ジャーナリスト」「批判家の発言」などと伝えるワシントン・ポスト
アメリカのワシントン・ポストは松島氏について詳しく報じている。
記事では、「日本では夏祭りに、安いうちわが配られることは日常茶飯事」と紹介した上で、松島氏が75セント(約80円)のうちわを約2万2000人に配布していたことを紹介。「批判家は『うちわの配布は、許容範囲を超えた』と言った。日本では豪華な贈り物であろうと、使い捨てのうちわであろうと、有権者に提供してはならないとする厳格なルールがある」としている。
さらに、「うちわはすぐに捨てられるので寄付には当たらない」という松島氏の考えとともに「『私自身は法律違反をしたとは思っていないが、これ以上、政治を停滞させるわけにはいかない』と元ジャーナリストは述べた」と、松島氏の記者会見での発言を紹介した。
また、上智大学の中野浩一教授の「安倍氏が女性に重点を置きすぎたという事実が、彼をさらに困難なものにしている」と紹介。この記事への読者からのコメントには「日本は他の先進国に比べてずっと男性優位社会だということ。わかりきった話だ」「女性は男性に比べて倫理的だ」「ボールペンを配って辞任した誰かさんみたいに奇妙な話」などの発言がみられた。
■「ささいな額」ロサンゼルス・タイムズ
うちわについては、アメリカのロサンゼルス・タイムズも報じた。同紙は「政治資金に関するスキャンダルは、日本では慢性的な問題」としながらも、これまでのスキャンダルに比べて「ささいな額」としている。
■CNBC、読者からは「うちわだけで辞任は馬鹿げている」
アメリカのニュース専門放送局、CNBCは「閣僚のスキャンダル、アベノミクス懸念」と題した記事で、2人の辞任理由については「政治資金を誤用した」「うちわの配布が選挙法違反になった」と報じたのみで、エコノミストらのコメントを大きく報じた。
エコノミストの1人は「小渕氏は働く母親として日本では有名で、安倍首相は彼女をウーマノミクスのシンボルにしようとしていた。だから彼女の辞任はこの政策にダメージとなる。もちろん、安倍首相の人気にも影響する」と述べたという。
読者からは「うちわを配ったからクビ? ほかにも何かあると思います。うちわを配布しただけで辞任というのはちょっと馬鹿げている」とのコメントが寄せられている。
■「女性だからインパクトも大きい」パキスタンのデイリー・タイムズ
パキスタンの英字紙、デイリー・タイムズは、安倍政権で「ウーマノミクス」が推進されていたことを紹介。一方で、「多くの注目を集めた女性大臣のスキャンダルだから、インパクトも大きい」とする、ある日本人ビジネスリーダーの発言を紹介した。
読者からは「典型的な日本の過度な性差別社会。社会で女性の地位を向上しようとすると、スキャンダルを投げ入れる。スケープゴートにしているのだと思う。ひどい」とのコメントが投稿されている。
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