先日の、新潟県糸魚川市の大火は衝撃的でした。
たった1軒の火災から、140棟、7万5千㎡もの家屋が焼失してしまいました。
私も一度糸魚川市に視察にいったことがありますが、古い町並みが魅力的な、落ち着いた雰囲気の素敵なまちでした。
あれが焼失してしまったのか...と、絶句します。
「マッチ一本火事のもと」なんて標語もあまり聞かなくなってしまいましたが、火というものを侮ってはならないと改めて痛感しました。
避難が早く、人的被害がごく少なかったのが救いでした。
住民の皆様に心よりのお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。
自宅の火災の経験をもとに、区議会で提言
私も、火事の恐ろしさは身にしみています。
さる8/4、陸前高田市の視察の最中に、私の自宅が火災に遭いました。
あれから4ヶ月が経ち、先日ようやく自宅の修繕が完了して引っ越しを行い、一昨日、やっと仮住まいの鍵をお返ししたところです。
私はこれまでも区議会で防災についての質問を様々行ってきましたが、やはり、自分が実際に災害に遭ってわかることは数多くあります。
「転んでもただでは起きぬ」ということで、自宅の火災から得られた知見をもとに、10/26の決算委員会総括質問で、文字通り「被災者の生の声」によるリアルな提言を多数行いました。
その中で特に、自宅の火災現場の写真をプロジェクターに出して行った「燃えないまちづくり」への提言についてご紹介します。
これが耐火ボードの威力!
これが、火災現場の写真です。
火元は1階の部屋の中。
そこにあった紙ゴミが燃えたということまではわかりましたが、それがなぜ燃えたのかは不明のままです。
写真は2階ですが、ここまでほぼすべて燃えてしまいました。
全焼になってもまったくおかしくなく、そこまで行ったら、隣家への延焼も免れなかったでしょう。
しかし、それを防いだのが「耐火ボード(石膏ボード)」です。
上記の状態から、耐火ボードを剥がした「だけ」の状態がこちらです。
わずか1cm程度の耐火ボードの内側は、焦げひとつついていません。
奥の壁を断熱材が覆っているのが見えますが、この断熱材を覆っているビニールが溶けすらしていません。
驚くべき性能です...!
これを見て、私は確信しました。
「燃えないまちづくり」のための施策は数々ありますが、最も重要なことは、最新の建材を使うことであると。
すなわち、建て替え・リフォームを推進して、最新の耐火ボードを使うなど、防火性能の高い建築物に作り変えていくことが最も重要だということです。
板橋区においては、東京都の「木密不燃化10年プロジェクト」に基づく「木密不燃化特区」に、大山町の一部と大谷口1丁目地域が指定されています。
特区に指定された地域では、老朽建築物の建て替えに最大100万円の助成金が出ます。
こうした取り組みは非常に重要ですが、すべての建て替え・リフォームを助成するわけにもいきません。
ぜひ、この写真から建て替え・リフォームの重要性を感じ取っていただき、家主の皆様に率先して取り組んでいただきたいと祈念しています。
「最低敷地面積制限」にはデメリットしかない。やめるべき
合わせて総括質問で申し上げたこととして、板橋区を含め各地の自治体で制定されている「最低敷地面積制限」はやめたほうがいい、と訴えました。
最低敷地面積制限とは、「最低敷地面積」以下に土地を分割してはならないと定めるものです。
板橋区の場合、地区によって60㎡、70㎡、80㎡という最低敷地面積が設定されています。
防災や通気性の観点から設定されるものですが、そうしたことは、建築基準法を遵守していれば担保されるはずのものです。
むしろ、最低敷地面積を設定することで、面積によっては土地の分割ができなくなり、土地分割を前提とした売却や建て替えができなくなるケースが出てきます。
例えば60㎡制限の場合、119㎡の土地は二分割できなくなるわけです。
60㎡なら許可されて59㎡だと許可されないという規制に、合理的な根拠はありません。
逆に、建て替えの推進を阻害し、「燃えないまちづくり」から遠ざかってしまうおそれがあります。
私は板橋区議会において最低敷地面積制限の廃止を再三主張していますが、いまのところ区は見直しの考えはないようです。
各地の自治体でも、この「メリットがなく、デメリットしかない」最低敷地面積制限、見直しの議論が起こってくることを期待します。