ミニマルアーティスト、ドナルド・ジャッドの影響でしょうか。近頃デザインホテル界には、やけにキューブ(箱)型建築が多く見られるようになりました。中でも気になるのは、地球上でも特に幻想的な環境に造られた現代的かつ独立したカプセル。ここではそんなボックス型ホテルの代表格10軒をご紹介します。
〜 スペイン|ナバラ州 〜
スペイン北部、ナバラ州にある「アイレ・デ・バルデーナス」には、窓を軸にデザインされたプレハブ・ルームがずらり。風に優しく揺れる麦畑と石野原が広がるこの環境、そしてミニマットレスや大きめのクッションが置かれたちょっとしたラウンジエリアのおかげで、ゆったり読書や考え事に耽るのにぴったりな場所となっています。
〜 ウルグアイ|プンタデルエステ 〜
ブラジルではすでにおなじみのホテリエ一家、ファザーノがウルグアイのビーチリゾートに登場。リオやサンパウロでは、見るからにグラマラスな建物で知られるファザーノだけれど、ここでは環境との調和を考えた、背の低い石造のヴィラが主役。中はさり気なく素朴さを気取りつつ、質感やディテールに贅沢さがしっかりと感じられる仕上がりになっています。
〜 タイ|カオラック 〜
正確にはキューブではなく直方体ですが、幾何学好きな人だってこの海辺のヴィラを訪れれば、そんなことより、アンダマン海に面したガラスの壁から入り口へ向けてテーパリングするように細くなったスレートグレーの建築美に見とれ惚けてしまうはず。これは自然の地形を活かした結果、完成したフォルムなのだそう。どのヴィラからもゴージャスな砂浜と海がたっぷり望める贅沢な造りになりました。
〜 ポルトガル|ア・ドス・クニャドス 〜
このホテルの建築は、テトリスをガラス&コンクリート製のブロックを使って実体化したような造りです。それなのに、ポルトガルのこの大西洋沿いの一角に違和感なく馴染んでいるのは、海水で白くなった天然の木の枝を梁に用いたり、大きなガラスの壁で屋外環境をインテリアの一部に取り込むかのようにデザインされているから。
5. CONSOLACIÓN
〜 スペイン|アラゴン州 〜
知る人ぞ知るデザインホテルが意外とたくさんあるスペインからもう1軒。あまり知られていないマタラーニャ地方の崖の上にちょこんと建つ「コンソラシオン」の温かみある木材のキューブ。中は、掘込み式のスレート材のバスタブやハイテク機器がばっちり完備されたゲストルームです。
〜 チリ|パタゴニア 〜
山肌に沿って建てられた12棟のキャビン風ヴィラからなる「アワシ・パタゴニア」。広大な大地と草原の中に溶け込むようにして造られた箱型建築は、近代的ながらも素朴で、温かみを保ちつつもグラマラス。
〜 中国|上海 〜
上海のホテルなのに、ヒマラヤ、そしてドバイを拠点とするホテルグループ、ジュメイラの名が付けられた、なんともややこしいこのホテル。それだけでは型破りと言い切れないと感じたのでしょうか。キューブ状になった建物の客室エリアは外から見るとネオンがキラキラ、中央部は円柱形の吹き抜けになっていて、砂漠や山岳部の小さなエコロッジとは大違いの印象です。
8. HOTEL VIURA
〜 スペイン|ラ・リオハ州 〜
ここまでボックスホテルがスペインに集中しているのは、やはりかつてキュービズムが栄えた国だからでしょうか。ワイン産地として知られるリオハ地方には、不安定な箱が山積みになったようなこんなホテルが。すぐ隣には18世紀からある教会があり、まさか想像にも至らない組み合わせですが、この風変わりなデザインのおかげで、どの部屋からも町や辺りの山々の見事な景観が楽しめます。
〜 ポルトガル|アルガルベ地方 〜
客室総数238部屋という、なかなかの大きさを誇る「マーティンハル・ビーチリゾート&ホテル」。ヴィラや家族向けのレジデンス風の客室オプションもあるけれど、ハコ滞在を求めるなら、本館ホテルへ。大きな一面窓を開いて、プライベートデッキから海風と景色を楽しみながらポルトガル産ワインを味わう、なんていかがでしょう。
10. LEBUA LODGE
〜 インド|ジャイプール 〜
世界文化遺産となっているアンベール(アメール)城壁のすぐ外に並ぶ、40棟の白い箱。近づいてよく見ると、どれもキャンバス地で出来ているから驚きです。壁の一つは全面ガラスになっていて、その外にはプライベートラウンジとガーデンが。歴史溢れるジャイプル観光を楽しんだ後は、とっても近代的なこの空間で、敷地内のオーガニック菜園で採れた食材の自然の味をかみしめてリラックスしましょう。
From: Tablet Magazine
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