ホリエモンこと、堀江貴文氏が、Webのインタビューでこの様なことを言っていました。
自分に言い分けをして、自分自身を不自由にしているだけだから。だから、「でも」という縛りをとってあげるだけで、もっと自由に行動を起こしていけるのではないだろうか。
これは、まったくその通りだと思います。
そして、私がカンボジアで行っている、サムライカレープロジェクトという研修プログラムで行っている事とも一致します。
我々が、カンボジアでどうやって「でも」の縛りを外しているか、そのエッセンスをお伝えします。
「でも」をなくすためのステップは2つです。
1.「やってもいい」ということを体感させる
2.「やらなきゃ無意味」ということを気付かせる
この2つのステップを、カンボジア・プノンペンのカレー屋でこの様に伝えています。
ステップ1.「やってもいい」ということを体感させる
サムライカレープロジェクトの研修生(大学生や企業研修)は、研修費用を払ってプノンペンの小さなカレー屋で起業体験をおこないます。カレー屋では、なにをやってもOKと言っており、新メニューを創ったり、お店を改装したりするのはもちろん、新しいスタッフを雇用したり、屋台を買ってきてかき氷を売るなんて事をした研修生もいます。
ただ、多くの研修生は最初からこんな風に自由に動けるわけではありません。なぜなら、日本の教育下ではしばしば「なにもしない」が最適解であり、「危なそうなことはしない」という精神が身についてしまっている人が多いからです。
そこで、最初のステップとして、ミッションを与え、強制的になにかをやらせます。
最初の1週間は、朝にミッションを与えて、夕方にその成果発表をしてもらいます。
例えば「サムライカレーの従業員以外のカンボジア人に、クメール語で自己紹介を習ってきて、サムライカレー従業員にクメール語で自己紹介をしてください」といったもの。
多くの日本の人は、言葉が完璧に喋れないという理由で、外国人に話しかけることを躊躇します。しかし、外国人側からしてみたら、日本人がきちんと自国の言葉を喋れないのはあたりまえ。それでも一生懸命おぼえようとしてくれる人には好感を覚えます。(あなたも、一生懸命日本語を覚えようとするカンボジア人がいたら助けてあげたくなりますよね?)
カンボジアの人たちは、非常に親切で、笑顔で対応してくれます。
こちらから話しかけて嫌がられることはあまりないですし、英語やクメール語ができなくてもコミュニケーションをとろうと歩み寄ってくれる人が多いです。
たった1日、こうやって現地の人たちの所に突撃していくだけで、
・みずしらずのカンボジア人の人に話しかけても大丈夫
・言葉ができなくてもコミュニケーションはできる
・笑顔で話しかければ、相手も友好的に接してくれる
・1回勇気を出せば、朝にはまったくできなかったことが、夕方できるようになる
ということが学べます。
これを1週間繰り返すと、「自分は、こんなことをやってもいいんだ」「自分は、意外とできるんだ」ということを実感できるようになります。まずは、自分で自分を承認すること。これが第一ステップなのです。
ステップ2.「やらなきゃ無意味」ということを気付かせる
ただ、「やれと言われたことができる」だけの人材は、指示待ち人材であり、あまり高い評価は受けられません。自分でやることを考え、それをこなして、成果を出すことで、自分の好きな仕事ができますし、組織からも重宝されます。
そこで「やってもいい」と体感した研修生には、「やってみなはれ」と指示を出します。
最初は
「1週間後に、このアミューズメント施設で販売会をやります。ここで1日で200個の売上を上げるための方策を考えて、計画を立て、実行して下さい」
というように、1週間後の目標を提示します。
これを受けて、月曜日に売り物の候補をピックアップし、路上で試食をしてもらう。火曜日までに売り物を決めて、プロモーション用の看板とビラの作成をはじめて...というように動けるチームは、合格。もうほっといても「やる」人ですし、次の週からは目標設定から彼らに任せます。
ただ、全てのチームがこうなるわけではなく、どうしても動かない人たちも出てきます。
私が「動かない人たちのためのソファ」と名付けている、店内のソファに1日4時間以上座っているチームです。
このような人たちには、まずは「動かなかったら、お金払って、カレー屋でバイトしているだけになるよ」と脅しをかけます。
それでも動かなければ、しばし放置します。小学校のころの勉強と同じで、やれと言われるとやりたくなくなると言うのが人間の習性ですので、この放置は意外と効きます。
大切なのは、自分で気付いて、自分で動けるようになることなので、最後まで動き出すのを待つようにしています。
とはいえ、数日経っても動かない人はいます。こういう人は仕方がないので、達成できそうな課題を少しずつ投げていって、ちょっとずつ動いてもらうようにします。
「でも」動けない人は、自分は動けない人だと知ることが大切
結局「でも」が口癖の人のうち半分くらいは、もう性分なので仕方がないところがあります。世の中、全ての人が自ら考え、動く必要があるわけでもないので、そういう人は「自分は人から言われたことをやるのが得意である」ということを学んでもらえればよいのだと考えています。
自分に適性がないのに、外資系サバイバルの仕事や、起業を選んでしまうのは不幸です。公務員や大手企業の裏方として地味に人から言われたことをやるのがいい人もいるのです。
こういう人も「自分はホントは、指示する立場の方が向いてたかもしれない」と思いながら仕事をするのは不幸なので、チャレンジしたうえで、「自分は向いていない」ということを知るということが大切なのです。
この「やってもいい」→「やらなきゃ無意味」の2ステップは、カンボジアに来なくても自社の職場でもできることです。
大切なことは、Step1で「自分はやってもいい」と自己承認をさせること。Step2で「自主的にやるまで待つ」ということです。
自社で「「でも」が口癖の部下」を教育したい方、ぜひ、ご参考になさってください。
じゃ、そういうことで。