「名誉殺人」は終身刑に 年に1100人の女性が親族に殺されるパキスタンで法案可決

「名誉殺人に名誉など存在しない」
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「家族の名誉を守るため」実の兄に殺害されたモデルのカンディール・バローチさんの写真を掲げる家族

パキスタンの上下両院議会は10月6日、身内の女性が「恥ずべき行為」をしたとき、家族の名誉を守るために女性を殺害する「名誉殺人」に対して厳罰化する法案を満場一致で可決した。

BBCによると、これまで名誉殺人は被害者の親族が赦しを与えれば無罪になる法律の抜け穴があった。今回の法律で、被害者の親族が赦しを与えた場合でも終身刑となる。

また、レイプ事件に対する厳罰化を定めた法案も可決し、レイプ犯のDNA検査が義務付けられ、未成年や障害者が被害者の場合、終身刑か死刑となる。

人権団体「ヒューマンライツ・コミッション・オブ・パキスタン」(HRCP)の調査で、2015年に親族に殺害された女性はおよそ1100人にのぼる。また、名誉殺人が報告されていないケースも多数あるとみられる。

これまでも名誉殺人は国際社会からの批判を浴び続けている。特に7月15日、Facebookなどに自撮り(セルフィー)写真を投稿していたモデルのカンディール・バローチさんが実の兄に絞殺された事件は、パキスタンでも賛否両論が巻き起こり、今回の厳罰化の流れを作るきっかけの1つとなった。

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実の兄に殺害されたカンディール・バローチさん。兄は「Facebookに卑猥な動画を投稿していたから、家族の名誉のために殺害した」と供述した。

CNNによると、パキスタンのナワーズ・シャリフ首相は法案可決後の会見で「名誉殺人に名誉など存在しない。女性は私たちにとって最も不可欠なものだ。女性たちが自信をつけ、社会的な束縛から解放されると信じる。そうすれば我が国の発展と繁栄に女性たちも等しく貢献できる」と述べた。

一方で新法にはイスラム教の聖職者など保守派からの反発もある。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、パキスタン最大のイスラム政党「イスラム聖職者教会」(ファズル)は、採決を棄権した。

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