民主派圧勝の香港区議会選挙、勝者と敗者の声明に明暗くっきり。中国共産党系メディアは「不公平な状況」と牽制

勝利宣言を行った民主派の一つ、民主党はデモ隊の要求について「民意の前において、受け入れるほかにない」とした。

11月24日に投票が行われた香港区議会議員選挙は、政府への抗議デモに参加した若者らを多く擁立した民主派の圧勝に終わった。

民主派の一つ、民主党は勝利を受け、警察のデモ隊の鎮圧活動について改めて追及する姿勢を強調。一方で、デモ隊を「暴徒」とし批判を続けてきた中国共産党系のメディアは選挙活動自体が「不公平な状況だった」などと伝えている。

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選挙活動に参加する若者たち
Reuters

■圧勝の民主派、警察の追及強める方針

香港の公共放送RTHKによると、民主派は全452議席のうち、これまでに388議席と85%以上の議席を獲得。投票率も71.2%と史上最高を更新し、中国大陸との親和性が強い建制派を圧倒した。

この結果を受け、民主党は公式フェイスブックに声明を掲載。香港政府と建制派はデモ隊が主張してきた「5大要求」を「民意の前において、受け入れるほかにない」とした上で、デモ隊の鎮圧活動にあたってきた警察に対し独立委員会を設立して追及する方針を改めて強調した。

一方、親中派政党は対照的だ。建制派の一つ、民建連は公式フェイスブックに敗戦の弁を載せた。「この選挙結果を尊重し、受け入れる」と敗戦を認めたものの「候補者は常に暴力と脅しを受け、まともな選挙活動ができなかった」とした。

■中国大陸のメディアは選挙結果を牽制

さらに歯切れが悪いのは中国共産党系のメディアだ。共産党機関紙「人民日報」は選挙が終了したことを伝える記事を掲載。記事では獲得議席数には触れておらず、「選挙当日は香港を乱そうとする人たちが、香港を愛する立候補者(建制派)を妨害した」と建制派と同様の主張を展開し「暴動を止め、秩序を取り戻すのが、香港に差し迫った最大の任務だ」と共産党の公式見解に終始した。

国営通信社の新華社は投票日前に論評を掲載。「選挙は公正公平に行われるべきだが、前代未聞の不公平な状況が生まれている」としていて、投票前から親中派の敗戦を予期していたことを窺わせる内容になっている。