香港で7月2日未明、中国政府の政治介入に反対するデモに参加後にビジネス街「セントラル(中環)」地区の車道で座り込みを続けていた市民や学生ら約1000人に対して、香港警察が強制排除に乗り出し、511人を拘束した。民主派は強制排除に対抗して市街中心部の占拠を拡大させる可能性があるとされ、中国政府が民主派に歩み寄るのか、それとも強硬路線を貫くのか、香港情勢が注目される。
民主派は、2017年に行われる香港トップを決める行政長官選挙に関し、中国政府が親中派以外の立候補者を事実上排除する仕組みを年内に構築しようとしていることなどに強く反発している。
中国政府は6月10日、香港の返還時に導入された「1国2制度」に関する白書を初めて発表。白書では、中国政府には香港に対する「全面的な管轄権がある」と明記し、香港の権限は限定的との解釈を示した。
また、次期行政長官選挙について、中国政府は現行の間接選挙から「普通選挙」への移行を認める見解を示しているものの、白書には「行政長官は愛国愛港(国を愛し、香港を愛する)の人物でなければならない」と明記され、自由な立候補を事実上制限している。
(毎日新聞「香港:大規模な反中デモ 返還17周年」より 2014/07/01 20:43)
民主派は、行政長官選挙を「真の普通選挙」とするよう要求、これが実現しなければビジネス街中心部を占拠するデモを7月中にも行うと宣言、2日未明の座り込みはその予行演習との位置づけだった。デモは強制排除によって終結したが、市民の反中感情はさらに高まっている。
■「自分自身を自由に表現できる社会で育ってほしい」
白書に猛反発する民主派は、民間投票を6月下旬に実施した。一定数の推薦があればだれでも立候補できる制度を支持する投票が、香港の人口の1割にあたる72万票に上り、民主派団体の予想も大幅に上回っていた。
イギリスの植民地だった香港は1997年7月1日に中国に返還され、香港人による高度な自治が許される「一国二制度」が約束されている。民主派は毎年この日に反中デモを実施。今年の参加者は、人口720万人の香港で参加者は約51万人(主催者発表)と過去最大規模だったという。
デモ参加者は「香港の将来は香港人が決める」「完全な普通選挙を導入せよ」などとシュプレヒコールを上げた。2日未明に強制排除のあったセントラル地区はデモの終点で、参加者らは夜を徹して抗議行動を続けていた。
参加者の女性(50)は「私たちが黙っていれば、香港は中国の1都市になってしまう」と危機感を募らせる。妻と2人の子どもと共にデモに加わった教員(36)も、「子どもたちには自分自身を自由に表現できる社会で育ってほしい」と訴えた。
(CNN「香港で民主派が大規模デモ 中国の統治に抗議」より 2014/07/02 10:56)
デモには、台湾で今年3月に立法院(議会)を占拠した台湾の学生グループらも参加した。政治圧力を強める北京の中国政府に対し、台湾と香港の民主派が連携する姿勢も示している。
■中国政府、民主化の波を恐れる
中国政府は、民主化の波が中国本土にまで波及することを警戒している。それだけに、民主派が行政長官に当選する可能性のある選挙制度は決して受け入れられない事情がある。
香港の地元紙は「香港は米政府によって反中国の足掛かりとして利用され、そこから革命の波が中国本土に広がっていくかもしれない」と指摘。人民日報(海外版)も、「米国は香港の政治に影響を及ぼす最大の外部要因になっている」と、米国を“黒幕”に仕立て上げた。
中国外務省の洪磊(こう・らい)報道官は2日の記者会見で、香港の大規模な反中デモについて「中国の内政問題だ。いかなる国の干渉も許さない」と述べた。その言葉からは、国際社会が期待する形での「普通選挙」を実施する意思は伝わってこない。
(サンケイビズ『「真の普通選挙を」51万人抗議 香港民主派、反中デモ 511人拘束』より 2014/07/03 00:04)
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