ボローニャ戦、先発出場した本田圭佑だったが、見せ場なく途中でベンチに退いている。現地イタリアの記者は低い点数をつけ、厳しい評価を下した。ターラブとの比較ではより鮮明にそれがわかる。
■「多くのスペースを本田がカバーしなければならなかった」
ACミランMF本田圭佑は14日のホーム・ボローニャ戦で先発復帰し、右の攻撃的MFとして後半21分までプレーしたが、見せ場なく不発に終わった。チームは本田がベンチに下がった後、イタリア代表FWマリオ・バロテッリの強烈な決勝弾により1-0で勝利した。
前節ナポリ戦では胃腸炎で欠場となったが、ここ数試合見せ場のない「背番号10」に対し、途中交代時にはスタンドからはついにブーイングも飛び出した。ミラノでの評価が日増しに厳しくなっている地元メディアだが、この夜は更に鋭い視線を浴びせていた。
一般紙「ラ・レプブリカ」のエンリコ・クッロ記者は本田に対し、勝ったチームの選手としては平均点以下を意味する『5点』とした。
「本田はよくなかった。とても酷いとは言えないが、確実によくなかった。だが、悪かったのは彼だけのせいではないと思う。チーム全体にはあまりにもスピードがなく、ペースが上がらなかった。
(ボローニャの戦術と帰陣の速さゆえに)彼の前には常に相手選手が5人いた。そして、何もできなかった。この戦術では多くのスペースを本田がカバーしなければならなかった。彼はもっとゴールの近くにいなければならない」
■「ターラブの方がスピードがあり、より思い切って挑む、厚かましいプレーができる」
本田のみならず、終盤までボローニャを攻略できなかったチーム全体のパフォーマンスの低さを指摘したクッロ記者。そして、現状でどの試合後も指摘されるポジションの問題だ。
クラレンス・セードルフ監督の標榜する4-2-3-1システムの1トップ下の3選手の並びは、この日、右から本田、トップ下カカ、左ターラブとなっている。右サイドで本田が苦しみ、ゴール前での効果的なプレーがなかなかできていない状況を分析した。
そして、次は本田自身の資質に切り込んだ。
「本田はもう少しスピードのある選手かと思ったが、彼にはスピードがない。1対1で、敵を抜くようなプレーができない。ターラブとはそこが違う。本田は技術的にはターラブよりも優れているかもしれないが、ターラブの方がスピードがあり、より思い切って挑む、厚かましいプレーができる。
本田はより臆病。でもそれはポジションの問題もあるのかもしれない。残念ながら、ブーイングも助けにはならない」口調は厳しかった。
またしても指摘されたのはスピードの欠如。ドリブルでの突破力も必要とされるサイドでは本田の遅さが弱点と映ってしまうのか。本田よりも後に加入したモロッコ代表MFアデル・ターラブはタッチライン際で積極的な仕掛けを見せ、アピールを続けている。
しかし、元々スピードを武器としていない司令塔に対する資質的な部分よりも、「臆病」という形容詞を冠せられてしまうことが一番の問題だろう。積極的にしかけることができないサイドの選手に存在意義を見いだすのは難しい。
■「ミランは本田を中心とするチームではない」
日本人の期待する本田らしさがピッチ上でサンシーロのピッチで表出できていないことを意味する。ターラブに対する「厚かましさ」はサイドの選手に対する賛辞だろうが、本田に対する「臆病」という表現はその対局に位置する。
そして、本田に対する期待に満ちていたティフォージ(ファン)から浴びせられることになったブーイングですら、奮起を促す起爆剤にならないと見ているようだ。
一方、イタリアスポーツ紙「コリエレ・デロ・スポルト」のミラン番、フリオ・フェデーレ記者は本田に『4.5点』と明確に落第点を付けた。
「本田は悪かった。とても悪かった。そもそも、出場機会を得ているサイドでのプレーでチームに適応できていないように思える。ミランは本田を中心とするチームではない。バロテッリが攻撃の中心だ。もっといいプレーできる選手だと思うが、現状は残念だ」
今回の本田の先発はロビーニョなどチームに負傷者が7人出た事が理由と地元メディアでは指摘されていた。確固たるレギュラーとは言えない背番号10にとっては、同僚の離脱も千載一遇のチャンスのはずだったが、精彩を欠いた本田がベンチに下がった後に決勝点が生まれたこと、そして、地元メディアに落第点を付けられるようなプレーで更に状況は厳しくなってしまった。
現実は甘くはなかった。ブラジルワールドカップイヤーで、本田は巨大なカルチョの壁にぶちあたっている。
【関連リンク】
(2014年2月15日フットボールチャンネル「ボローニャ戦のミラン・本田に落第点並ぶ。『ターラブはスピードあり厚かましい。本田は臆病』」より転載)