ふるさと納税、総務省が見直しへ→「5割」返しの佐賀県みやき町、旅行券、家電などを取りやめる

高額・地場産以外の返礼品を出す自治体に寄付しても、税控除されないことになる。
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佐賀県みやき町のふるさと納税特設サイト。地元と関係の無い商品券などが返礼品として提示されている

「ふるさと納税」で高額の返礼品を出す自治体が問題化していることを受け、野田聖子総務相は9月11日、そうした自治体への寄付を、税優遇の対象から外す方針を示した。対象から外れた自治体に寄付をしても、税金が控除されなくなる。

ふるさと納税は、2018年で導入から10年。寄付総額が年々増える一方、一部の自治体に多額の寄付金が集まっていた現状を見直す。高額の返礼品を止めなかった自治体の中には9月に入り、急きょ取りやめるところが出てきた。

■「存続の危機にある」

野田聖子総務相は11日の会見で、「(ふるさと納税は)存続の危機にある」「制度の趣旨をゆがめている場合は、制度の見直しを検討することにした」などと述べ、見直しに本腰を入れる考えを明らかにした。

返礼品の価格が、目安とされる寄付金額の3割を超えていたり、地場産品を返礼品にしていなかったりした場合、その自治体への寄付は税優遇の対象から外す方針だ。2019年4月からの実施をめざす。

2008年度に始まったふるさと納税は、年々返礼品競争が過熱、総務省は、ふるさと納税の返礼率の見直しを求める通知を2017年度と18年度の2回求めた。総務省が11日に公表した調査(9月1日時点)によると、246自治で返礼品の額が、寄付金額の3割を超えていた。地場産品ではない返礼品を送る自治体も190あった。

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総務省の資料から

なかなか減らない現状に後を煮やした総務省は7月、高額の返戻品、もしくは地元産品以外の品などを提示し、しかもそれを見直す意向のない、10億円以上をあつめた12自治体を公表した。

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総務省の資料から

総務省の通知などを受けても方針を示さない自治体も9月1日時点でまだ残っている。大阪府泉佐野市は、総務省の調査に回答もしていないようだ。

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総務省の資料から

総務省の厳格化の方針を伝える報道が9月に入って流れるようになると、返戻率が寄付金の5割といった、高額の返礼を続けていた自治体の中から、急きょ取りやめるところも出てきた。

寄付金の半額にあたるHISの旅行券や家電を返礼品にして、2017年度に72億円を集めた佐賀県みやき町は9月7日、ふるさと納税の特設サイトで、11日をもって、旅行券や家電など、地場産品以外の品を取りやめる告知を出した。同町は2万円の寄付に対し、1万円の旅行券を返礼品として送るなど、返戻率の目安とされる3割を超す品を提示していた。

佐賀県嬉野市も、返礼品として出している78品のほぼすべての額を、寄付額の5割にしていた。市企画政策課の担当者は不満をかくさない。「国からこういう方針が出るのなら、従わざるを得ない。8月あたりで総務省から市長に直接電話があり、返礼品を見直さないと控除に影響することをは臭わされていた。このため、4月から見直そうと考えている。だが、3割一律になるのはどうかという思いがある。観光地なので、温泉宿泊の観光券も用意したいが、そうすると5割くらいになってしまう」

同市では、地場産品以外の返礼品があり、その点も同省から指摘された。

担当者は「もともと特産品の焼き物を単独で返礼品として出したが、選ばれなかった。いったん出品を取りやめると、嬉野の特産品をなぜ出さないのかと議会で指摘された。考えた結果、同じく特産の嬉野茶と大分県産の焼酎、それから焼き物でつくったぐい飲みを組み合わせ『お茶割セット』として返礼品にした。その品が国からNGと言われた。iPadを返礼品にしているような自治体とは意味が違う」と話す。