僕には大西連くんという友達がいて、彼は「もやい」というNPOをやっています。
(以前は湯浅誠さんが事務局長をしていた、その筋では有名な団体です)
彼から教えてもらったことがあります。
年末年始は役所の窓口が閉まる
- 失業したり、住まいを追い出されたりした人は、普段は役所に行けば、すぐに何らかの支援は受けられる
- けれど、年末年始は役所の窓口が閉まる。だから、公的な支援が受けられなくなる。全く。
- それはやばい! せめて路上ではなく、布団で寝られる環境を誰かが用意しないと。役所がやらないんだったら、民間でやろう!ということで、ホームレス支援団体が連帯して、「ふとんで年越しプロジェクト」というのを3年間やっていて、今年もやる
僕たちが実家帰ってぬくぬくお酒飲みながら紅白見ながらおいしいご飯を食べている時に、誰からも支援を受けられず、路上で生活せざるを得ない人がいるなんて。
考えてみれば当たり前の話ですが、全然気づきもしませんでした。
障害とホームレスの問題は繋がっている
そして、「ホームレス」というと、ボロボロの服を着たおじさんをイメージしがちだけれど、最近はいつもは日雇い派遣で働く若者で、ネットカフェで寝泊まりして、でも怪我で失業しちゃって、というような人。また障害や病気があってずっと実家にいたけれど、虐待や家族不和で実家から出ざるを得なくなって、そのまま..... というようなケースも多くなっているようなんです。
僕たちは障害児保育をしていて、障害児を支援しているけれど、彼らが大きくなって、でもなかなか働けず、家族が亡くなったり、離れざるを得なくなってしまった時、待っているのはホームレス問題で。そう考えると、障害児者の問題とホームレス問題って、地続きで繋がっているんだ、と感じて、苦しくなりました。
国も自治体も動かない
大西くんは厚労省などに、この年末年始にセーフティネットに穴が開くバグについて何度も改善を求めているようです。けれど国は「それは地方自治体の役割なので.....」と動いてくれないようです。確かに、役割分担としてはそうです。
では地方自治体は、というと「自分のところだけで支援を充実させたら、東京中からホームレスが集まってきてしまって、財政負担につながる。それは無理だ」となります。
こうして、問題は解決されぬまま、固定化されていきます。しかし、目の前で凍える人たちがいる。ならば、中長期的には公的仕組みづくりを要望しつつ、今の目の前の問題を解決するために、民間NPOが動かないといけません。
ふとんで年越しプロジェクト
ふとんで年越しプロジェクトは、ビジネスホテル等を一定期間借りて、そこを個室シェルターにします。あたたかいご飯も提供します。そこで年末年始を「しのいで」、年明けに行政につないでいくのです。
このプロジェクトは、クラウドファンディングを使って、寄付で成り立たせているそうです。最低限のラインはクリアしましたが、寄付が増えればシェルターを増やして、もっと多くの人を助けられるそうです。僕もわずかですが、入金しました。
みなさんも良かったら、ぜひ応援してください。忘年会代が、誰かにとっての温かな布団や豚汁になっていくと思ったら、悪く無いですよね?
誰にとっても年末が「よいお年」であるように。僕たちができることはあります。
クラウドファンディングサイトはこちら
(2016年12月28日「駒崎弘樹公式サイト」より転載)