コンビニ「冷やし中華」春と夏で味が違う?! 秘密の鍵を握るのは「スープ」だった

5月あたりまでよく売れるのは、こってり系のごまだれ味。夏に向けて消費者の味覚がシフトしサッパリ系がよく売れるそうです。
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夏のコンビニの定番人気商品のひとつ「冷やし中華」。

食欲が落ちることの多い夏、サッパリした味わいでカラフルな見た目も食欲を刺激する冷やし中華を選ぶ人も多いのではないでしょうか。

 

「冷やし中華」の売り上げは毎年梅雨明けに2割増

「夏になると冷やし中華を食べたくなる」というのは、データとしても実証されています。「毎年、冷やし中華は早い地域で3月頃から商品棚に並びはじめますが、梅雨明け前後で売り上げを比較すると、梅雨明け後のほうが2割も伸びる傾向があります」(ファミリーマート デリカ食品部調理麺担当 田村衡さん)

やはり夏本番を迎えると、冷やし中華を食べたくなる人が増えるようです。

「現在、ファミリーマートで販売中の冷やし麺は、しょうゆ味の『炙り焼チャーシューの冷し中華』とごまだれ味の『練りごまのコクごまだれ冷し中華』(※各税込み480円)のほか、そばやうどんなど合わせて10種類以上あるのですが、売り上げの比率で見ても、梅雨明け前は【そば:うどん:中華麺】が【3:3:4】なのに対し、梅雨明け後は【2.5:2.5:5】に躍進します」(同)

ではなぜ、冷やし中華がそれほどまでに多くの人に支持されるのでしょうか。

春と夏では冷やし中華の味が違っていた!

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夏はスープが変わっていた!?
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「夏に冷やし中華が売れる」という秘密の鍵を握っているのは「スープ」です。ファミリーマートの冷やし中華は消費者のニーズに合わせ、6月に“盛夏仕様”としてスープをリニューアルしているそうです。

「夏バテ気味で食欲も減退することの多い夏、多くの人はこってりした味わいよりもサッパリしたものを求めるようになります。そうした味覚の変化に合わせて、冷やし中華のスープの味も盛夏用に変えています」(同)

具体的には、しょうゆ味のスープはチキンの旨味を強くし、レモン果汁を増やすことで酸味をきかせ、ごまだれ味のスープはリンゴ果汁を増やす一方で、砂糖を減らし甘味を抑えることでより爽やかに、それぞれサッパリとした味わいに仕上げているそうです。春と夏で味を変えていたのです。

ちなみに、夏に向けて消費者の味覚が「こってり」から「サッパリ」にシフトすることは、2つの商品の売れ行きの変化でも明らかです。「5月あたりまではこってり系のごまだれ味がよく売れますが、それ以降はサッパリ系のしょうゆ味の動きがよくなります」(同)

 

気温変化に合わせ3段階で売れる

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冷やし中華がもっとも売れるタイミングは!?
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冷やし中華は、売れ行きが上がるポイントが春から夏にかけて1シーズンに3回あるといいます。

1回目は、冷やし中華の販売がスタートする春、気温が「20℃」を超えたタイミング。消費者が「そろそろ暖かくなってきたな」と感じる時に、冷やし中華を食べたくなるようです。

2回目は、5月下旬から6月にかけ、気温が「30℃」を超えたタイミング。消費者が明確に夏を意識し、積極的に冷やし中華を購入しはじめるとのこと。

3回目は、梅雨明けのタイミング。前述したデータも示している通り、冷やし麺全体の売り上げが底上げされ、なかでも冷やし中華を選ぶ人が増えていきます。

冷やし中華は、数ある冷やし麺シリーズのなかでももっとも気温の変化に敏感な商品で、冷やし麺全体でも、毎年売れ筋商品のトップ1に輝いているようです。

参考資料など

※一部地域では仕様と価格が異なる場合や、一部店舗では商品の取り扱いがない場合があります
情報はすべて取材時(7月29日)のもの。

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