アウティングによる加害者も被害者も生み出さないために、知っておきたい4つのこと

一橋大学でゲイの大学院生が自死してから2年
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一橋大学で、ゲイの大学院生がアウティングされたことによって自死してしまった事件から2年が経ちました。

このショッキングな事件は、実は氷山の一角であり、今も至るところでアウティングは起きてしまっています。

勝手にセクシュアリティを暴露されてしまう「アウティング」は、暴力的で危険なことであるのは確かですが、残念ながら完全に防ぐことも難しい。

しかし、「知っておくこと」によって防げる部分は必ずあるはずです。そこで、アウティングによる加害者も被害者も生み出さないために、最低限知っておきたいことを1枚の画像にまとめてみました。

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松岡宗嗣

PDFファイルはこちらからダウンロードすることができます。

■知っておきたい4つのポイント

1、そもそもアウティングとは?

アウティングとは「本人の承諾なく、その人のセクシュアリティを第三者に暴露してしまうこと」です

例えばカミングアウトされた人が、他の人に「○○ってゲイなんだって」と勝手に言いふらしたり、LINEやTwitterなど、SNS上で誰かに暴露してしまうことをアウティングと言います。

ちなみに、自分で自分のセクシュアリティを誰かに明かすことは「カミングアウト」、自分ではない誰かが勝手に言いふらすことが「アウティング」です。

2、なぜアウティングをしてはいけないの?

その人の居場所を奪ってしまったり、プライバシーの侵害につながる可能性があるから

「友達にカミングアウトした翌日、学校に行くとクラス全員にセクシュアリティが暴露されていた。そこからいじめが始まり、学校へ通えなくなった」というように、カミングアウトした相手に悪気があってもなくても、アウティングによって当事者は居場所を奪われてしまうことがあります。家から追い出されたり、友達から縁を切られたり、職場に居づらくなることもあるのです。

こういったことが起きてしまう背景には、まだまだLGBTに対する差別や偏見があり、セクシュアリティがバレてしまうことで、周りから「普通じゃない」という烙印を押されてしまう社会があります。

3、カミングアウトされたらどうすればいい?

肯定的に受け止め、「誰に伝えているのか」「誰に伝えて良いのか」を聞いてみてください

カミングアウトはとても勇気がいることで、それと同時に相手を信頼している証でもあります。まずは肯定的に受け止め、素直に疑問に思ったことを聞いてみたり、いつもと変わらないコミュニケーションをとってみてください。

「ただ知っておいてほしいだけ」、「具体的に困っていることがある」など、カミングアウトする理由はひとそれぞれです。その時、誰にまで伝えているのか、誰にまでだったら伝えて良いのかを聞いてみてください。

4、困ったときは自分だけで抱え込まず、相談しましょう

▶︎アウティングされて困った場合

アウティングをされて、そのコミュニティに居続けることが難しくなった等、辛い時は我慢せず、誰かに相談しましょう。よりそいホットラインなど、セクシュアルマイノリティ専門の電話相談を受けている所もあります、ぜひ利用してください。

アウティングについて考える時、LGBTではない人からのアウティングを想定することが多いですが、当事者から「セクシュアリティをバラす」と脅されたというような、当事者間でのトラブルによるアウティングの事例もあります。まずは信頼できる人や、LGBTに関する活動や支援を行っている団体、電話相談を利用して相談してください。

▶︎カミングアウトされて困った場合

突然カミングアウトされて困惑してしまうこともきっとあると思います。ただ誰かに相談したいという思いから、悪気なくアウティングをしてしまったということもあるかもしれません。

例えば、カミングアウトと同時に告白された等の場合、カミングアウトについては肯定的に受け止めて欲しいですが、告白に応えるかどうかはもちろん自分の気持ち次第です。

もし自分が信頼できる相談相手が(カミングアウトした当事者が属していないコミュニティに)いれば、本人の情報を明かさないよう注意しながら相談してみましょう。相談する人がいない場合も、自分だけで抱え込まず、電話相談等を利用して相談してみてください。

相談先:よりそいホットラインなど

電話番号:0120-279-338(全国から24時間365日通話可能。4番がセクシュアルマイノリティ専門の相談窓口)

他にも、自治体やLGBT関連の活動団体が独自に相談を行っている場合もあります。「LGBT 電話相談」や「LGBT 地名」などで検索してみてください。

LGBT向け電話相談がまとめられているページや、こちらのブログにも相談窓口が記載されています。

■アウティングによる加害者も被害者も生み出さないために

アウティングを完全に防ぐことは難しいですが、LGBTの存在があたりまえなものとして社会に認知され、平等に扱われるようになれば、アウティングという概念も過去のものになっていくはずです。

それまでは、「知らない」ことによってアウティングが起きてしまわないよう、万が一起きたとしても、自分だけで抱え込んで辛くなってしまわないよう、この4つのポイントが広く活用されれば幸いです。

どんなセクシュアリティでも安心して毎日を過ごせるよう、アウティングの危険性やLGBTの置かれている現状が広く伝わって欲しい。それと同時に、「かわいそう」という視点ではなく、セクシュアリティが何であれ、それがことさら問題にもならないような、同等に扱われるような社会になると良いなと思っています。