PRESENTED BY Rethink PROJECT

「コロナ禍に花火大会」「警備員さんに座ってもらう」当たり前を覆す発想をするコツは?

「この仕事を通して、どうやったら世の中がよくなるか、今の世の中の常識ってどうなんだろうと、ひと呼吸おくことは意識しています」世の中を新しい視点で見直す方法とは?非密の花火大会を始め、クリエイティブな社会貢献活動に携わる本田守武さんに話を聞いた。
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「Rethink(視点を変えて物事を考える)」をキーワードに、社会課題と向き合う「Rethink PROJECT」も協賛する、今年の「非密の花火大会」。

「非密の花火大会 in びわ湖一周 プロジェクト」が、昨年に引き続き、8月28日に2回目の開催を迎える。 

花火が打ち上げられるのは琵琶湖周辺。密を避けるため、打ち上げ場所の詳細は秘密だ。花火はオンラインでドローン中継され、観客は自宅で楽しむことができる。コロナ禍で中止が相次いだ花火大会を、どうにか開催できないかと考案されたプロジェクトだ。

この花火大会は、滋賀県出身の有志で運営されている。司法書士、整骨院の院長など、それぞれの仕事の合間をぬってプロジェクトを進めている。

「コロナ禍に花火大会ができないのは仕方ない」「本業が忙しくて他の活動をするのは難しい」そう諦めてしまいそうな時に、一歩立ち止まり、新しい挑戦をするにはどうしたらいいのか?

株式会社リクルートで正社員として働きながら、「非密の花火大会」のクリエイティブディレクターを務める本田守武さんに、そのヒントを聞いた。

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本田守武さん。「非密の花火大会」ではクリエイティブディレクターを務め、ネーミングやコンセプトの制作から、広報活動全般に携わる。正社員として勤める株式会社リクルートでは、大手から中小企業まで幅広い業種のクライアントの採用や働き方を良くするエンプロイヤーブランディングを行うクリエイティブディレクターとして活躍。

お金じゃない想いへの共感から、広がる花火大会

──非密の花火大会に参加したきっかけを教えてください。

本田守武さん(以下、本田):地元の滋賀で、町のパン屋さんや、理容室が協賛する小さな納涼祭をよく観ていました。大学進学で地元を離れてから、しばらく行っていなかったのですが、子どもを連れて10数年ぶりに久々に観たら、一発目の打上げ花火で感動して泣いてしまったんですね。普段の仕事では、利益や経済合理性も追わなければいけないからか、お金が発生しなくてもみんなが熱量を持っていることにグッとくるようになったんだと思います。

そんな背景もありながら、去年、「有志で花火を上げるプロジェクト」を手伝ってほしいと相談をもらい、想いに共感して参加することにしました。

──お金ではない想いに惹かれたんですね。

本田:クラウドファンディングも、目標金額を超えた分は花火師さんに寄付すると決めていました。実際に、昨年は目標以上に支援をいただけて。そこで、花火師さんに寄付の相談をしたら、「大変ありがたいけど、それならその分、花火を打ち上げたい」と言ってくださったんですね。なので、別の花火業者さんにも声をかけ、琵琶湖を囲んでより大規模に花火を上げることができました。想いが伝播していくのを感じましたね。

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──昨年大成功した非密の花火大会ですが、今年の開催への想いは?

本田:去年より本業が忙しいメンバーも多く、仕事との両立に不安はありました。でも、6月末くらいから、非密の花火大会のFacebookページの閲覧数が増え、楽しみにしてくださっている人がいるとわかった。花火大会ができない状況も、花火師さんが大変なのも去年と一緒。今年もやらないと、新型コロナで苦しい思いをしている人を元気づけたいというコンセプトが嘘になると思い、開催を決めました。

──今年もクラウドファンディングを実施しています。

本田:今年は準備期間が短いこともあり、企業協賛のみで運営する案もあったんです。それでもクラウドファンディングを実施したのは、共感してくれた普通の生活者の人たちでお金を出しあって大会を作る方が、コンセプトにあっていると思ったから。みんなで「自分たちで上げた花火だ」と思えるのがいいなと思っています。地元の滋賀だけでなく、地域を超えて1人でも多くの方に応援いただけると幸いです。

 「警備員も、座っていいんじゃないか?」

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「警備員の働き方改革」プロジェクトの様子。座哨を取り入れた方が警備のパフォーマンスが高まるという仮説の下、筑波大学名誉教授の田中喜代次先生と共同で実証実験をおこなった。

──非密の花火大会以外に「警備員の働き方改革」プロジェクトにも携わられています。

本田:これはリクルートの仕事で推進させていただいています。全国警備業協会さんがクライアントで、警備業界全体のブランディングをする目的で始めました。

案件がはじまってから、警備員さんをよく見るようになったのですが、必ずしも立っている必要がない場所でもみなさん立っているんですよね。例えば、真夜中で通行がほとんどない通行止めの現場とか。そこで、街中の警備員さんに「座れたらいいと思いますか?」と聞くと「怒られちゃうよ、クレームがくるよ」とおっしゃられるんです。「世の中のみんながいいと言ったら?」と話すと、「そりゃ、座れたら嬉しいねえ」と満面の笑みで話してくれました。これは、日本人の仕事観や常識が壁なんだなと気づきました。

「警備員は立っていることが当たり前」だったのが、「座ってもいいんじゃないか」と閃いた瞬間に、立っていることが問題に思えてくる。新しいコンセプトや光の当て方が生まれると、アイディア側から課題が浮き彫りになると思います。

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デザイン性と機能性を兼ね備えた入院服「Fudangi」

──「Fudangi」というブランドもお手伝いされていると伺いました。これも、当たり前を変えていくような活動ですね。

本田:友人が始めた「入院服」のブランドです。彼自身が病気になり、おしゃれが好きだった彼は、無機質で個性のない入院服を着ているだけで気が滅入ることもあった。多くの入院服は、点滴やカテーテル時の着脱も不自由でした。

そこで、「おしゃれで機能的な入院服ができないか」と考え直したのがFudangiです。残念ながら彼は試作品をつくっている時に亡くなってしまいましたが、ご両親が意志を受け継いで製品化に至り、ブランドを続けています。その想いに共感し、僕もネーミングをはじめクリエイティブを中心に手伝っています。

「今の世の中の常識ってどうなんだろう」と、ひと呼吸おく

──「当たり前を見直す」発想のきっかけは?

本田:発想のベースには人間に対する眼差しがあります。世の中の仕組みや、経済活動、企業の都合ではなく、人間の感情に寄り添うのが大事だと感じています。人間がごきげんでいられることを中心に考えると、これって何でこうなってるんだっけというものが結構ある。

あとは、普段仕事をしていると、細かい数値目標とか、重箱の隅をつつくような課題が出てくる。そこにとらわれず、「この仕事を通して、どうやったら世の中がよくなるか」「今の世の中の常識ってどうなんだろう」と、ひと呼吸おくことは意識していますね。

いい光の当て方をすると、みんなその世界に行きたいと思う

──携わられているプロジェクトの今後の展開は?

本田:7月からリクルートが単独入居する都内のあるオフィスビルの警備員さんには座っていただけることになりました。社内で取組の発表を聞いた総務の方が、「うちの会社から座ってもらおう」と動いてくれたのです。いい光の当て方をすると、みんながその世界に行きたいと共感してくれる。こうして、パートナーシップが自然と作られると思います。

リクルートはバリューズとして「新しい価値の創造」、「個の尊重」、「社会への貢献」を掲げています。だから、個人の情熱を応援してくれるし、社会に価値を生み出すという同じ想いを持っている人が多い。共感してくれる人が多い環境も、プロジェクトが広がった要因だと思います。まだ4名ですが、大きな一歩です。

まずは、気軽に挑戦できる社会へ

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 ──当たり前を覆すような行動に、なかなか踏み出せない人はどうしたらいいでしょうか。

本田:個人も企業も、社会実験くらいの気持ちでもっと気軽に挑戦できたらいいと思います。失敗して途中でやめても元に戻るだけですから。失敗しても得られることが絶対にありますし、やって後悔したことはないです。 

費用対効果は?前例はあるのか?など、関係者を説得するハードルが高いこともあると思います。周囲や社会を一気に変えるのは難しい。でも、小さくても一石を投じたら、共感して応援してくれる人もいる。だからこそ、まずは一歩、みんなが気軽にスモールスタートできる社会になるといいなと思います。 

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本田さんが携わるプロジェクトの共通点は、視点を変えて「当たり前」を考え直している(=Rethinkしている)ことだった。目の前の仕事に追われる日々でも、一度立ち止まって、「当たり前」や「前提」をRethinkする。そんな「ひと呼吸」を大事にしていきたい。

 

「非密の花火大会 in 琵琶湖一周 2021」

 

なんとなく受け入れてきた日常の中のできごと。本当はモヤモヤ、イライラしている…ということはありませんか?「お盆にパートナーの実家に帰る?帰らない?」「満員電車に乗ってまで出社する必要って?」「東京に住み続ける意味あるのかな?」今日の小さな気づきから、新しい明日が生まれるはず。日頃思っていたことを「#Rethinkしよう」で声に出してみませんか。