広島平和記念資料館が被爆者をイメージしたマネキン人形の撤去を決めたことに対して、市民から反対の声が上がっている。原爆の悲惨さを伝える目玉展示の一つだったが、市は2016、17年度の展示物のリニューアルの際に、撤去する予定だ。被爆者の写真や衣服など、実物の資料を重視した展示にする方針で、創作性の高い人形は必要なくなったためというのが理由だ。
この「被爆人形」は、成人女性と女学生、少年の3体ある。現在の物は1991年に設置された2代目。初代は1973年に登場しており、それから40年間に渡って、来館者に被爆の恐怖を伝えてきた。3体の人形は、火傷でただれた両腕を前に突き出し、ボロボロの服でがれきの中をさまよう被爆者の様子を再現している。世界中から毎年100万人を超える人々が訪れる資料館の目玉展示だった。
広島市はホームページ上で市民から寄せられた展示の継続を望む意見に対して、以下のように回答している。
凄惨な被爆の惨状を伝える資料については基本的にありのままで見ていただくべきという方針の下、この度被爆再現人形を撤去することとしたものであり、残虐な印象を与えることなどを危惧するものではありません。
こうした広島市の方針に対して、市民の間では人形を存続させようと署名運動が起きている。時事通信によると、署名運動は今年3月の市議会で改めて人形の扱いが話題となったのを機に急拡大。6月末に6042人分の署名が館に提出された。発起人の会社員、勝部晶博さんは「子供たちに原爆の怖さを伝える手掛かりとして、強いインパクトを与える人形はこれからも必要。1万人などの節目で署名を届け、決定を覆したい」と話しているという。
TBSが広島市内で行ったアンケートでも9割が撤去に反対。ネット上でも被爆人形の撤去に反対する声が圧倒的に多い。
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