2018年1月に閉館した犬吠埼マリンパーク(千葉県銚子市)で、イルカやペンギンが半年以上経ったいまも譲渡先が決まらず残ったままで暮らしている。県保健所が立ち入り調査し、適正に飼育していることを確認しているが、動物愛護団体などが状況の改善を求めている。
県衛生指導課によると、海匝保健所の職員が、閉館後も月1-2回程度、立ち入り調査で状況を把握している。
同課によると、閉鎖後の施設には、「ハニー」という名前の雌のイルカ1頭を始め、フンボルトペンギン46羽、約40種類の魚類、両生類・爬虫類の生き物が、従来の展示スペースにそのまま飼育され、「閉館前の状況でほぼ維持されている」という。
2018年1月に、水族館が閉鎖された後、管理会社が引き続き管理しているという。最近の保健所の立ち入り調査は7月26日。えさやりは担当の飼育員が続けており、「営業はしていないが、適正に遂行していることは確認した。26日の時点では、譲渡先を探していると管理会社から聞いている」(同課)という。
■「ハニーを助けて」SNSで広がる
イルカ「ハニー」の存在がクローズアップされたのは、この事態を問題視し、銚子市などに質問状を送っていた動物保護団体が8月、「ハニーを助けて」とSNSなどで呼びかけたのがきっかけだった。中心となっている団体「ピース」の担当者によると、春ごろには、ひび割れのような傷が頭から背中にかけてできていたという。県衛生指導課によると「いまは回復している」という。
ピースの担当者は次のように指摘する。
「ハニーを含めた生きものたちの今後をどうするつもりなのか、一刻も早く犬吠埼マリンパークは公表、説明するべきだと思います。現在の状況では、譲渡するつもりがあるのかどうかすら定かではありません。私たちとしては、野生生まれのハニーを、自然の海の環境に近い海外のサンクチュアリに移してあげたい。その交渉に応じてほしいです。ハニーを、ショービジネスの世界から解放してあげたい」
SNSでの呼びかけをきっかけに、ハニーをはじめとする生き物の飼育の現状を心配する声が相次いだことから、日本動物園水族館協会は24日、「先方(マリンパーク)からの要請には協力する旨をすでにお伝えしてあり、いつでも対応する体制を整えています」という声明をホームページに掲載した。