先週末にアップされた「家事は命を救う? 1日30分で死亡率低下」というネットニュース。自分もちょうど2年前、「肥満予防には ジム通いより掃除」という似たタイトルの記事を書いたので、気になって読んでみました。で、蓋を開けてみれば、けっこうな程度で違う記事でした。
堀米香奈子 ロハス・メディカル専任編集委員
ネットニュースで紹介されているのは、17カ国13万人を対象にして行った大規模な調査の結果で、
1日30分または週150分のエクササイズをした場合、死亡のリスク(死因の特定なし)が28%、心臓病のリスクは20%、それぞれ低減することが分かった。
しかもその30分は、ジムに行ったりランニングしたりなどの本格的な「運動」である必要はなく、通勤や家事で体を動かすのでも十分だという。
とのこと。要するに、毎日30分は何でもいいから体を動かすと死亡率が下がります、という話です。行けるんだったらジムでもよし、と。一方、ロハス・メディカルの「肥満予防には ジム通いより掃除」の記事で言っているのは、
1日あたりの運動量(運動強度×時間)を一定にした場合、まとめて長時間、少ない回数(40分と45分間の2回)運動するよりも、断続的にこまめに(30分おきに5分間を17回)運動した方が、脂質の燃焼割合が多くなりました。
という研究の話。だから、わざわざジムに1時間行くよりも、ちょこちょこ動いていたほうが太りませんよ、ということです。ね、違いますよね?
ちなみに、同じロハス・メディカル2015年11月号の特集「寝たきりを遠ざける運動と栄養 ~住む街によって運動量は変わる」特集には、「座りっぱなしを とにかく排除!」という話も載っています。こちらもちょっとだけ引用。「メッツ」とは運動の強さの単位です。
具体的には、1.5メッツ未満の状態(多くは静かに座っている状態)が長ければ長いほど、肥満や糖尿病、心臓病、がんなど様々なリスクが、3メッツ以上の運動量とは関係なく上がると分かってきたのです。大事なことなので繰り返すと、いくら運動をしても、1.5メッツ未満の時間が長いと、これらの病気のリスクが高まります。
というわけで、とにかく細切れに動くことが肥満や生活習慣病の予防に大事なのです。
両方の記事、同じ号に掲載されているので、ロハス・メディカルWebにあるバックナンバーから併せて読んでいただくのがオススメです。「健康づくりって意外と手軽だし、気負ってやるほどのものじゃなくて充分。ポイントは意外と簡単なんだ」ということがお分かりいただけると思いますヨ。
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(2017年10月23日「ロバスト・ヘルス」より転載)