マトリックスは元々、トランスジェンダーの物語だった。監督が明かす「私たちはいつも想像の世界に住んでいました」

「マトリックスは、変わりたいという願いを描いた映画です。しかしそれは、秘められた視点から語られています」
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映画『マトリックス』のヒットから約20年。世界中で愛される同作が、元々は「トランスジェンダーの人たちの物語」だったと、リリー・ウォシャウスキー監督が明かした。

リリー・ウォシャウスキー氏はNetflixのインタビューで、多くの人たちがマトリックスをトランスジェンダーのストーリーではないかと語っていることに触れ、「元々の意図が明らかになってよかった」「当時、世界や企業社会はまだ用意ができていなかった」と話した。 

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GLAADメディアアワードに登壇したリリー・ウォシャウスキー氏(2016年4月2日)
Frederick M. Brown via Getty Images

ウォシャウスキー氏は、姉のラナ・ウォシャウスキー氏と共同でマトリックスの脚本を手がけ、監督を務めた。

2人はそれぞれ2010年代に、トランスジェンダー女性であることをカミングアウトしている。  

マトリックスは、キアヌ・リーブスが演じる主人公のネオが、自分の生きていた世界が仮想現実であることに気付くストーリーだ。

ウォシャウスキー姉妹がトランスジェンダーをカミングアウトした後に、ファンや批評家たちの間で、「心が体を超越し、自分のことを自分で決めるマトリックスのストーリーは、トランスジェンダーの物語なのでは」という議論が広がった

リリー・ウォシャウスキー氏自身はそのことについて、「マトリックスがトランスジェンダーの物語と捉えられていることを嬉しく思う」と語った。

「マトリックスシリーズが、トランスの人たちにとって重要な意味を持ち、そしてトランスの人たちが『この映画シリーズは私を救ってくれた』と私に言ってくれるのをとても嬉しく思います」

「変化、特にサイエンスフィクションの世界での変化は、想像力であり、世界を作り、一見不可能なことを可能にします。だからこそ、この映画シリーズは、トランスジェンダーの人たちにとって大きな意味があるんだと思います」

 

ウォシャウスキー氏はさらに、マトリックスの登場人物スウィッチが、オリジナルの脚本ではトランスジェンダーのキャラクターとして描かれる予定だったと明かした。

「マトリックスは、変わりたいという願いを描いた映画です。しかしそれは、秘められた視点から語られています。だから私たちはスウィッチという、現実世界では男性でマトリックスでは女性のキャラクターを作ったのです」

そして、脚本を書いていた時に自身のトランスジェンダーとしての認識が頭脳の中でどれくらい存在していたかはわからないが、ストーリーは自分たちの情熱から生まれたと説明した。

「トランスの人々は、言葉が存在しない場所に存在しました。私たちはいつも、想像の世界に住んでいました。だから私はサイエンスフィクションやファンタジーに引かれ、ダンジョンズ&ドラゴンズで遊んでいたのです。それは私たちにとって、世界を作るということでした」

「映画の作り手として、私たちは自由でした。当時は必ずしもスクリーンではうつらないものを想像できたからです」 

世界的なヒット作、マトリックスシリーズに秘められていた物語。同シリーズは、2022年に4作目の公開が予定されている。