モデルで女優の水原希子さんが、インターネット上で人種差別的な発言や中傷を受けている。
水原さんはなぜ、執拗な攻撃の対象となってしまったのだろうか。その背景には、現在もネット上で拡散する水原さんが言ったとされるある「発言」の存在があった。
『2ちゃんねる』の元管理人・西村博之氏9月19日、自身のブロクで、その「発言」が存在しなかったことを指摘し、ウソの情報を拡散させてしまう状況に苦言を呈した。
■騒動のきっかけは...
水原さんは、アメリカ人の父親と韓国人の母親を持ち、アメリカ・テキサス州のダラス生まれを公表している。幼い頃に日本へ移り住んだが、外国にルーツを持つことを背景に、彼女に出生に対する差別的なツイートが寄せられる騒動が起きた。
水原さんがCM出演するサントリービールの「ザ・プレミアム・モルツ」の公式Twitterが9月7日、CM動画をツイートしたところ、「日本人を使え」などと人種差別的なコメントが書き込まれた。
過去に、同じアカウントで水原さんが出演するCM動画がツイートされた際にも、「在日」などの言葉を差別的な文脈で使ったコメントが付いていた。
今回のサントリーの1件で、水原さんに対する差別や中傷が注目・問題視されることになったが、実は以前から、この問題はネット上で起きていた。
そのきっかけとなったのが、水原さんが動画サイトで公開した動画だった。
中国の天安門に中指を立てた写真作品に、水原さんがInstagramで「いいね!」をつけたことなどに激怒した中国のネットユーザーに対して謝罪したものとみられる。
その動画の中で、「日本人じゃないから許してほしい」と発言をしたという情報が広まった。
これを信じた日本のネットユーザーから、「韓国に帰れ」「なんで日本で活動しているんだ」などと批判が起きたことが、ことの始まりだ。
■「日本人じゃないから許してほしい」実際は言っていない
ところが、「日本人じゃないから許してほしい」という発言は実際には言っていない。
インターネット掲示板『2ちゃんねる』の元管理人・西村博之氏が9月19日、自身のブログで、その点を指摘している。
「言ってないことを言ったことにする頭の残念な人達」とのタイトルで更新し、水原さんが英語で謝罪した動画と日本語訳を掲載。「『日本人ではない』とは一言も言っていない。そもそも『日本人』という単語すら動画の中では使っていない」とつづった。
実際の動画では、写真に「いいね!」をつけたことを認めた上で、「1時間後に削除した」「(投稿した)友人も悪いと気づいて削除した」と説明。「絶対に中国に住む人々を傷つけたり、そういった意図を持つことはありません」「後悔している」などと謝罪している。
アメリカ生まれ、日本育ちという自身の生い立ちや、アメリカ人の父親と日本で生まれた韓国人の母親を持つという出生を説明しているが、「日本人じゃないから...」「許してほしい」という発言は確認できない。
■ミスリードが中傷を助長した?
しかし、この騒動を取り上げた記事の中には、あたかも「日本人じゃないから許して」という発言があったかのように受け取れたり、その発言を事実として紹介したりするものが散見された。そうした発言をした別の動画や、他の場面も編集された録画があるのかどうか、今のところ確認できていない。
このような'ミスリード'が、水原さんへの執拗なバッシングを助長しているとみられている。
こうした現状を踏まえて、西村氏は同じブログで「政治的やら思想的やらで訴えたいことがあるあまりに、言ってないことをねつ造して触れ回る人が見受けられる」と苦言を呈した。
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