国民的な飲み物「カルピス」の研究から、また一つ新しい発見が生まれた。
瓶入りの原液を水で薄めて飲むスタイルの乳酸菌飲料が生まれたのは100年前。その後、「カルピスウォーター」や「カラダカルピス」など、様々な商品が世に送り出されてきた。
近年、「カルピス」を由来とする研究から、注意力や計算作業の効率維持に効果がある成分が見つかった。それを配合した機能性表示食品の飲料として「はたらくアタマに」シリーズが発売されることになった。
ワークスタイルの変化に伴い、仕事の効率を求められるビジネスマンが多い。「働く人たちをサポートしたい。日常に寄り添う飲み物から働き方改革を後押ししたい」。アサヒ飲料はそう考えている。
「カルピス」だからできること
「カルピス」が発売されたのは1919(大正8)年。大阪府の住職の息子、三島海雲が北京で商売をやっていた際、内モンゴルを訪れる。そのとき口にした酸乳にヒントを得て開発にこぎつけた。
「カルピス」はたちまち人気商品となり、戦後はお中元などの贈り物としても人気が高まった。
商品も増え、巨峰やメロン、マンゴーなどの果汁と組み合わせたシリーズが発売されたほか、そのまま飲める「カルピスウォーター」、炭酸で割った「カルピスソーダ」、体脂肪を減らす機能性表示食品「カラダカルピス」なども生まれた。
食や健康に対する時代の変化に応じて、様々な商品が開発されてきた。そして今回、発売される「はたらくアタマに」シリーズは、「カルピス」の製造における「発酵」の過程の中で、乳酸菌の働きにより生成される「ラクトノナデカペプチド」が配合されている。
アタマのはたらきをサポートする機能性関与成分「ラクトノナデカペプチド」
ラクトノナデカペプチドは脳の栄養「BDNF」や神経伝達物質「アセチルコリン」の生産量を増やすことで、年齢とともに低下する認知機能の一つである注意力(事務作業の速度と正確さ)や、計算作業の効率をそれぞれ維持するのに役立つとされる。
10年ほど前、この効果を発見。その後詳細な研究が進められ、「注意力の維持」「計算作業の効率維持」の2つの機能をうたった初の機能性表示食品「はたらくアタマに」シリーズとして結実した。
「ワンダ」ブランドの無糖ブラックコーヒー、しつこくない甘さの「抹茶ラテ」、すっきりとしたレモンの味がする「サポートカルピス」、リフレッシュできる果汁炭酸の「ウェルチ スマートスタート」、小容量で毎日続けやすい「ラクトノナデカペプチドドリンク」の計5種類を発売。より多くの人が楽しめるようにしたという。
開発チームの一人、宮本菜々子さんは言う。
「働くシーンでは、目を覚ましたいときにはコーヒー、もうひと頑張りしたいときには『カルピス』のような甘い飲み物、リフレッシュしたいときには炭酸飲料。仕事中は、単にのどの渇きを潤すだけでなく、『プラスα』の効果を求める人が多いのではないかと思ったんです」
さて、気になるのは効果のほどだが、人を対象にした試験からその効果を裏付けており、ラクトノナデカペプチドを含む食品を摂った場合、注意力や計算作業の効率維持において、良い結果が得られている。
効果の検証以外にも商品化するまでに「壁」があった。それは味の問題だった。宮本さんは振り返る。
「ラクトノナデカペプチドという成分は苦味が特徴です。この成分の粉末を既製品に入れた試作品は美味しいとは言えなくて、初めは不安が募りました」
いくら効果があると言っても、飲料は日常的に口にするもの。宮本さんは「美味しくなければ飲んでもらえないので、味は妥協できませんでした。苦味とマッチする組み合わせを探すため、研究チームと開発チームとで試行錯誤を繰り返してたどり着いた自信作です」と明かす。
ちょっとした習慣から「働き方改革」を
宮本さんは「普段の飲み物をちょっと変えるだけでも、気分は変えられる。働き方改革ってこんな身近なところからでもできるんだ、と感じてもらえたら」と話す。
「働き方改革」と聞くと、国や企業が主導するものというイメージが強いのが実情だが、同社が考えたのは、普段の飲み物をちょっと変えてみる、そんな習慣の変化から「働き方改革」を後押しすること。
「働き方改革を気軽で身近なものとしてとらえてもらおうと、『かえる会』を展開しています。働き方の効率アップにつながるような習慣の提案をしていき、働く人に寄り添っていきたいと思っています」
「かえる会」は、「はたらくアタマに」シリーズの発売と同時に、同社がウェブ上で始めるキャンペーン。
「はたらきかた、かえる? まずは飲み物から、かえる?」をテーマに、身近な習慣の中で、個人が気軽にできる働き方改革を募集するという内容だ。
「初恋の味」として親しまれ、100年にわたって日本人の生活と健康に寄り添ってきた「カルピス」。令和の時代を迎えても、その提供価値は、まだまだ奥が深そうだ。