旧日本軍の慰安婦などをめぐる橋下徹大阪市長の発言に対し、世界の有力者からも非難の声があがっている。
ノーベル平和賞を受賞した女性たちが橋下市長の発言を非難する声明を連名で出した。参加したのは、アメリカのジョディ・ウィリアムズさん、イランの人権活動家シリン・エバディさん、リベリアの平和活動家リーマ・ボウイーさん、北アイルランドの平和運動家マイレッド・コリガンマグワイアさん、グアテマラの人権活動家リゴベルタ・メンチュウさんの5人。
共同通信は以下のように伝えている。
声明は「戦時における『性奴隷』は性暴力であり今日では戦争犯罪と定義されている」とし「最も強い言葉で非難する」とした。また「慰安婦に対する犯罪は被害者と家族に甚だしい苦痛を与え、東アジアで緊張と憎しみと不信を継続させている」と指摘した。
(共同通信 2013/05/31 12:00)
ジョディ・ウィリアムズさんは対人地雷禁止と除去の国際キャンペーンに取り組んだ(1997年にノーベル平和賞受賞)、シリン・エバディさんはイランで弁護士として女性や子どもの人権擁護に貢献(同2003年)、リーマ・ボウイーさんは激しいリベリア内戦下で、女性たちによる平和構築活動に尽力(同2011年)、マイレッド・コリガンマグワイアさんは北アイルランド紛争を平和的解決に導くための組織を設立(同1976年)、リゴベルタ・メンチュウさんはグアテマラの先住民族の人権活動をリードした(同1992年)。
また、知日派として知られるリチャード・アーミテージ元米国務副長官は、30日に東京で開催された講演会の中で慰安婦問題について「政治家はこの問題で発言すべきではない」と語った。
朝日新聞によると、
アーミテージ氏は「安倍政権は右翼のナショナリスト政権だと思われている」と指摘。そのうえで「日本の政治家が発言すれば、中国は『ほら、見たことか』と喜ぶだろう。中国の拡張主義から目をそらしてしまうことにもなる」という見方を示した。
(朝日新聞デジタル 2013/05/31 12:55)
ニューヨーク・タイムズの国際版「インターナショナル・ヘラルド・トリビューン」はマイケル・チュチェック氏の寄稿「A Rising Star’s Self-Destruction」を掲載。その中で、橋下氏の一連の行動について以下のように書いている。
Facing marginalization in Abe’s shadow, Hashimoto seems to have decided to take charge of his own destiny — by transforming himself into the international poster-boy apologist for the sexual abuse of women by military personnel.
(International Herald Tribune 2013/05/30 08:53:00)
「安倍首相の人気に対抗するため、橋下氏は『慰安婦問題の弁明人』という役回りを引き受ける道を選んだ」とし、記事の最後で「橋下氏の行動は、『話題の人物が常に優れた人物であるとは限らない』ということを多くの日本人と世界に向けて示した」と結んでいる。
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