アメリカ司法省は8月30日、ハーバード大学が入試でアジア系アメリカ人の受験者を差別していたとする見解を示した。
CNNなどが、司法省の裁判資料などを元に報じた。
公正な入試を求める学生団体が2014年、ハーバード大学を提訴したことを機に、アメリカのトップ大学が選考プロセスで人種バイアスに基づいて違法に差別をしていたのかどうか注目が集まっていた。団体にはハーバード大学を落ちたアジア系アメリカ人の学生らが所属している。
AFP通信によると、アメリカの大学は、学生の人種バランスに配慮した方針(アファーマティブアクション)に基づいて、ヒスパニックやアフリカ系アメリカ人の志望者の入学を積極的に受け入れてきた。オバマ政権はこの方針を支持していたが、保守層からの反発があった。トランプ政権は2カ月前に、この方針を撤回すると発表した。
「45年以上にわたって、人種に基づいた合否判定を続けていた」
ウォールストリート・ジャーナルによると、団体側は提出した裁判資料の中で、アジア系アメリカ人の受験者は他の人種グループと比べて、学術やカリキュラムの評価は最も高いのに、個性や性格の評価を含む「個人能力評価」が最も低いと主張。アジア系アメリカ人に対する合格者数制限を設けており、差別だと訴えている。
司法省の見解は、団体側の主張を認めた形だ。
司法省は、資料の中で「ハーバード大学は不透明な『個人能力評価』を用いて、白人や他のマイノリティ人種グループと比べて、アジア系アメリカ人の受験者が不利になるようにしていた」と指摘。
「おそらく人種バイアスに基づいて、違法な人種均衡を図った。45年以上にわたる人種による合否判定を続ける中で、人種的中立に資する代わりの選択肢を考えてこなかった」と批判している。
CNNによると、ハーバード大学は、アジア系アメリカ人の合格者数の制限疑惑を否定。入試の担当者は「バックグラウンドや学術的環境に貢献する能力など、受験者の全ての要素を考慮している」と反論している。
「ハーバード大学は、いかなる属性の受験者に対して差別をしていない。合否判定における数ある要素の一つとして人種を考慮するという、最高裁が40年以上に掲げる全ての大学の法律上の権利を守る」とも話している。
この訴訟は、10月にボストン連邦地裁で開かれる。