成人の日の1月8日の早朝、振袖の販売・レンタル業者の「はれのひ」が突如行方不明になり、新成人が予約していた振袖を着られなくなった問題にからみ、名前が酷似するフォトスタジオ経営会社「ハレノヒ」(佐賀県)が騒動に巻き込まれる事態になった。
同社代表取締役は1月10日、その顛末をブログで明かした。
問題になった横浜市の「はれのひ」とほぼ同じ名前の会社を営む「ハレノヒ」。実際には全く関係のない2社だが、「ハレノヒ」のサイトにアクセスが集中し、サーバーがダウンするなど、大きな"とばっちり"を食らった。
「ハレノヒ」代表の笠原徹さんはブログの中で、SNSなどを通じて励ましやアドバイスをくれたユーザーに対して、「当社が今回の騒動とは全くの無関係であり、間違えないように呼びかけて下さるなど、風評被害を防ごうと動いて下さった皆様に」感謝したいと綴った。
笠原さんは、こうしたSNS上での支援により、誹謗中傷やキャンセルなどの直接的被害が抑えられていると感じるという。
騒動直後、同社のサーバーがダウンし、渦中の「はれのひ」と無関係であるという笠原さんの公式声明にアクセスできない状況になった時には、Twitterユーザーから「ブログをスクリーンショット画像で保存し、ツイートするのがよいのでは」というアドバイスをもらったという。
多くの励ましや応援に「とても救われました。涙が出るくらい本当に嬉しかったです」と思いの丈を記した。
笠原さんの会社は屋号ではあるが、レンタル衣裳店も営んでおり、騒動を起こした「はれのひ」と混同するユーザーがいないとも限らない。今後の風評被害も懸念しているが、「起業する際、自分の子供に名前をつけるような思いで命名した」社名を変えるつもりはないという。
笠原さんは、「ハレノヒ」という社名に込めた思いを「写真を撮る日がその人の『ハレの日』になって欲しいという意味のほか、心が晴れやかになる天気の『晴れた日』の意味と、ハワイ語で『家』を指す『hale』の日、つまり『家族の日』になればいいなという思いのもと付けました」と綴った。
「今はむしろ『はれのひ』という音に付いたマイナスイメージを、当社でなんとかプラスに持っていきたいと考えています」と決意を記した。
ブログの中で、多くの新成人を裏切った「はれのひ」の経営者に対して「人生の門出であり、まさにハレの日を迎えようとしている成人やそのご家族の、戻ることのない大切な時間を奪ったことは、同業者としても一個人としても全く理解できません」と、怒りをあらわにした笠原さん。「『もう倒産するけど、成人式だけはちゃんと着物を着させて終えてあげたい』そう考えて欲しかったです。それが『時』と『思い出』を扱う商売をしている人間の最低限の資質だったんではないでしょうか」と綴った。
思いもよらぬ騒動を経ることになった笠原さんは、ハフポスト日本版の取材に対して、今回被害にあってしまった新成人への思いを以下のように語った。
成人式のような晴れの日は、自分の成長や、自分が家族に支えられてきたということを感じる瞬間であって欲しいといつも思っています。
今回被害に遭われてしまった方たちにも、今後、この成人の日が、人生を振り返る良いきっかけになるように、起きてしまったことを意味付けていっていただければと願っています。
被害に遭われた方達の中には、他の業者やお知り合いの善意で救済されたという方もいると思います。
成人式や結婚式といった晴れの日を祝う仕事に携わる人たちの多くは、皆さんの良い日の支援を考えています。
業界全体が、悪意に満ちたものではないということだけは誤解しないでいただけると嬉しいです。