監督の頭を悩ませる「花の2区」の選手選び
あと数週間後にせまった箱根駅伝。各大学、どのようなメンバー構成にすべきか悩んでいるところでしょう。特に勝負どころとなる第2区には注目が集まります。
今大会で大学駅伝3冠を目指す青学大には、エース一色恭志(4年)がおり、既に彼の起用は決まっている様子。また、東洋大学にはキャプテンでありエースの服部弾馬(4年)と、1万mで28分22秒の記録を持つ桜岡駿(4年)らが候補になるでしょうし、早大には主将・平和真(4年)がいます。エントリー16人のうち1年生が8人となった東海大は誰が2区をつとめるのか、こちらも気になるところですね。
さて、そんな箱根駅伝ですが、第2区や5区に注目が集まりがちですが、見どころはそれ以外にもあります。それは"ごぼう抜き"。過去のレースでは、とんでもない"ごぼう抜き"がこの箱根の舞台で実現しています。これもまた箱根駅伝の醍醐味と言えるでしょう。
今回は、そんな"ごぼう抜き"をふり返ってみたいと思います。
過去には20人もの"ごぼう抜き"も
記憶に新しいのが2008年のキダウ・ダニエルさん。2区を走ったダニエルさんは19位で襷をうけてそのまま豪快な走りを見せると、15人もの選手を"ごぼう抜き"。結果的に4位で襷を繫ぎました。
日本人では中川拓郎さんが2003年に15人の"ごぼう抜き"を達成。こちらも2区を担当していました。また、同じく日本人の最高では2011年に村澤明伸さんが、こちらも2区を走っており、17人の"ごぼう抜き"を達成。
目の前にいるランナーを次々と抜いて順位を上げる"ごぼう抜き"は、見ていてもとても痛快です。そんななか、20人ものランナーを抜き去っていったのが、2009年にキダウ・ダニエルさんがみせた"ごぼう抜き"です。こちらも2区を担当していました。
2009年の大会は第85回の記念大会だったため、参加校が23といつもより多かったのも良かったのでしょう。また、このときは1区が大混戦。ダニエルさんが22位で襷を受けた時、トップとの差が1分46秒しかありませんでした。これは射程距離内。ダニエルさんは素晴らしいスピードで抜いて抜いて抜きまくります。結果的には2位まで順位をあげました。
さすがに20人抜きは今後そう簡単に塗り替えられないような記録だと言えるでしょう。
20抜きランナーの意外な結末とは
しかし、ここで面白い視点があります。書籍『図解-箱根駅伝』ではこの"ごぼう抜き"について分析がされており、実はこの時のダニエル選手は区間2位だったのです。これは意外。
というのも山梨学院大のメクボ・ジョブ・モグスさんは4位で襷を受けて3人抜きしかしなかったものの、1時間6分4秒の区間新記録の走りをみせたのです。戸塚中継所には2分20秒差のトップで飛び込んでいるので、"ごぼう抜き"をしたはずのダニエルさんは、モグスさんに引き離されていたことが浮き彫りになっているのです。
見方を変えると色んな楽しみ方があるのが、この箱根駅伝の魅力なのかもしれませんね。さて、今年もどのようなドラマが生まれるのでしょうか。今から楽しみでなりません。
※画像はpixabayより
※同記事は『Runtrip Magazine』に掲載されたものを加筆・編集したものです。
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