ロシア兵に殺害された飼い主を1カ月間、玄関で待ち続ける秋田犬が「ウクライナのハチ公」として話題になっている。「なんて忠誠心。胸が張り裂けそう」と世界に悲しみが広がっている。
■玄関先で待ち続ける秋田犬のリニ
その犬の名前はリニ。9歳になったメスの秋田犬だ。首都キーウ近郊にあるマカリウ村の自宅の玄関先で、飼い主を待っている。飼い主の女性は自宅近くでロシア兵にレイプされた後に殺害されたという。
国会議員のオレクシー・ゴンチャレンコ氏は日本時間4月11日、写真付きで以下のようにツイートした。
「忠実な秋田犬のリニは、キーウ地方のマカリウ村で、玄関先で飼い主を1カ月近く待っています。飼い主の女性は悲劇的に亡くなりました。ボランティアは犬を避難所に連れて行こうとしましたが、彼女は拒否しました。リニには、マカリウのハチ公というニックネームが付きました」
内務大臣顧問のアントン・ゲラシチェンコ氏も同日、リニの動画をTwitterに投稿。以下のように解説した。
「9歳のリニです。飼い主のテティアナは残酷に殺害されました。そのことを知らないリニは、まだ彼女を待っています。占領された1カ月の間、誰もリニの世話をしませんでした。今、彼女が回復するのを助ける親切な手を探しています」
ゲラシチェンコ氏は続くツイートで、飼い主のテティアナさんはリニを自分の子供のように可愛がっていたが、ロシア兵にレイプされ殺害されたと明かした。リニは病気を患っていて別の場所に連れていくのが難しいため、近隣の人が協力して餌やりを続けているという。
このマカリウの村では多くの民間人の遺体が見つかっている。地元メディアが村長の発言として報じたところによると、ロシア軍の撤退後、この村では銃殺によって処刑された132人の遺体が見つかったという。