『2分ルール』で「ぐずぐず」をなおし、新しい習慣をつくる方法

同じ部のとても良くできるマネージャーの方のやりかたは違った。その先輩はマネージメントだけでなく、仕事が早くて有名だった。そして、こう言われていた。「あの人はデスクに書類を置く前に、仕事を終わらせている」
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(photo by Tasha Chawner

 会社員のころ、部長のミーティングにマネージャーが集められると、様々な書類が配られる。

 管理や人事、販促などから、それぞれ勝手気ままにたくさんの指示が飛んでくる。 大きな組織だからそれも仕方あるまいとため息をつきながら、それを受け取り、部長の指示を聞く。

 その間ももちろん売場は動いているから、早く終わってくれないかなとウズウズしながらミーティングを過ごし、終わると急いで倉庫の奥のデスクに帰り、分厚い提出書類の束をデスクに投げ出し、とりあえず売り場に出る。

 それで普通だと思っていたのだが、同じ部のとても良くできるマネージャーの方のやりかたは違った。その先輩はマネージメントだけでなく、仕事が早くて有名だった。そして、こう言われていた。

 「あの人はデスクに書類を置く前に、仕事を終わらせている」

 つまり、僕のようにいったんデスクに積むのではなく、すぐに書いてしまえるようなものはその場で書いて提出し、部下の誰かにふれるものは、売場に帰る途中でスタッフを捕まえてすべて渡してしまう。

 だから、デスクに帰ったときには、持って返ってきたはずの提出書類などの仕事はすでになくなっていると噂されていた。

 その人の仕事ぶりを突然思い出したのだが、それはいつも紹介している起業家でウェイトリフターで写真家のJames Clear氏のコラム「How to Stop Procrastinating by Using the "2-Minute Rule"(『2分ルール』で先延ばしをやめる方法)」を読んだからだ。*1

 Jamesさんの勧める『2分ルール』とは、

1.2分でやれることは、今すぐやる

2.新しい習慣を始めるときは、2分以内の習慣にする

 1の『2分でやれることは今やる』は、ベストセラー『Getting Things Done』から教わったことだとJamesさんは仰っているが、要は、たいていのやらなければならないことは、実際のところ2分以内に終わってしまうことが多い。そういうタスクは、あとでするのではなく、今、たった今、する。

 上に紹介した先輩は、まさにこのルールを実践されていて、2分以内に片付くと思われた仕事は、「いったん机に置かず」、いつもその場で解決されていたように思う。

 たしかに、僕らは2分以内に終わらせることのできるタスクを、いくつも積み上げてしまう傾向にあると思う。

 食べたあとの皿を洗う、溜まっていく書類を捨てる、名刺を整理する、メールの返信をする、FBのコメントを書く・・・全部、2分以内で片付く。

 2のルール『新しい習慣を始めるときは、2分以内の習慣にする』はJamesさんのオリジナルで、習慣の大切さをいつも述べておられる彼らしいルールだ。

 つまり、毎日のランニングを習慣にしたいとする。たいていの人は、毎日45分走ることを日課にしようとする。

 が、まったくのゼロからはじめて、45分のランニングを習慣化するのは、かなり難しい。何日か後には、意欲が低下して、サボりはじめてしまう。

 だが、Jamesさんが勧めるのは、ランニングを習慣化したければ、まずは、それを2分以内の日課に規定せよ。そして、それをすぐに始めよ、ということだ。

 2分しかないと、服を着替えてランニングシューズを履くだけで終わってしまうじゃないか、と思う。だけど、ランニングシューズを履いて、外に出れば、そのまま帰ってしまうことはない。何分かは走って、走っているうちに気持ち良くなって、45分走れてしまうことだって多いだろう。

 「45分走る」を日課とすると、できなかった日があると、意欲が低下し、さらにできなくなってしまう。

 だけど、「ランニングシューズを履くこと」に日課を限定すると、それくらいのことはできてしまうし、走る時間の長短はあれ、日課を守ったという達成感は続く。それが習慣になった時点で、30分とか、45分とか、走るべき時間を長くしていけば良いのだ。

 それはもちろん、ランニングだけでなく、本を読むこと、日記を書くことなど、さまざまなことに適用できる。

 そして、もし、『2分ルール』を自分に課していて、それが習いとなってくれば、「2分ですませることのできる新しい習慣」も、先延ばしせずに、すぐにできるようになるだろう。

 今日、彼の書いていることを自分なりにまとめてみて、この記事の素晴らしさを再認識した。

 あと、これに僕なりのローカルルールを付け加えるとしたら、

3.2分でやれないことが残ったら、まず放置すべきものを選んでわきによける

 僕も先輩のやり方を見習って、できることはすぐに解決し、なるべくタスクは前倒しでやっていこうとした。だけど、そのうち気がついたのだけど、早いばかりがよいわけでもなく、「心配だけど放置する」ほうが良策な場合も多くある。

 「時間が解決するかも」あるいは「状況は変わるかも」と思いながらも、To-Doリストを綺麗にしたくて、つい着手してしまうということがあった。

 「すぐにやる」ことも大事だけど、その姿勢のなかで、「放置する、ただ待つ」ということもまた、それ以上に大事で難しいことだなと思うのだ。

PS Jamesさんのほかの記事を紹介した過去記事がいくつかあるので、よろしければどうぞ。

*1:前にも読ませていただいたのだが、今日、Mediumに投稿されていることに気づいてもう一度読んで、このコラムを書きたくなった

(2014年9月8日「ICHIROYAのブログ」より転載)