銃規制をめぐって全米で激論が交わされており、コロラド州では先ごろ、新たに包括的な銃規制法案が州議会で可決された。ところが、そんな時代の流れに逆行するように、同州南西部の小さな町で、銃所持を「義務付ける」条例が設けられた。
コロラド州グランドジャンクションの南方およそ80キロメートルに位置し、人口1000人にも満たない町ヌクラ(Nucla)の議会で、世帯主に銃所持を義務付ける条例が、賛成5、反対1で可決されたと、『Montrose Daily Press』紙が伝えている。
ヌクラの条例では、「町内に在住する世帯の全世帯主に対し、銃器およびその銃弾の所持を義務付ける」という一文が定められた。
ヌクラの評議員も務めるリチャード・クレイグ副町長はKREX-TVに対し、「犯罪者たちに警告する。われわれは武装している」と語った。
ただし同条例では、法的に銃所持が認められない世帯主や、単に所持を望まない世帯主に対して、例外も認められている。
唯一反対票を投じたビル・ロング町議員は、こうした条例は、銃の所持を禁止する法律と同様、押しつけ以外の何ものでもないと語っている。「イデオロギー的に見て、“銃を持ってはならない”と言っているのとなんら変わりはない。私生活に対して政府に口出しされたくないなら逆効果だ」と、AP通信の取材に対して同議員は語っている。
ヌクラの条例制定は、ジョージア州ネルソンが2013年4月、住民に銃所持を義務付けた「Family Protection Act」という先例がきっかけとなった。WSB-TVが報じたところによれば、この法案を提出したネルソン町議会議員は、町内に配置される警察官の数が少なく、町民の安全が脅かされている点を憂慮したという。ネルソンは人口1300人の町で、警察官によるパトロールが皆無。あったとしても、1名のみの体制で行われている。
銃規制を訴える団体「The Brady Center to Prevent Gun Violence(銃による暴力を防止するブレイディ・センター)」は、条例の可決を受けて、ネルソンの町を相手取って訴訟を起こしている。